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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

社会貢献も、「感情」から「数字」で語る時代へ。
ブレイク寸前の「エシカル消費」がマーケティングを変える!

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第67回】 2012年5月8日
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 「社会貢献はホントに流行っているのか?」 CSRやソーシャル・ビジネスに関わる人間の間でいつも議論されているのが、実はこのことである。

 状況証拠的には流行っているように見える。社会貢献系の飲み会やセミナー、イベントは増えているように感じるし、参加してみればどこも大いに盛り上がっている。イベントの規模も大きくなっている。企業に入ってCSRをやりたいという学生もあいかわらず多いし、東日本大震災に関しては15歳以上人口の76.4%が寄付を行なっている(日本ファンドレイジング協会調べ)。内閣府の調査でも「何か社会のために役に立ちたい」と考える人は69%もいる(2009年度調査)。バブルが始まった1986年は47%だったから、ずいぶんと増えているわけだ。

 しかし、社会貢献を特集した雑誌は売れていないし、男性誌に比べて社会貢献関連の特集を組むことが多い女性誌でも、いまだにそれがメインの特集とはなっていない。テレビに関しては、社会起業家を特集した番組が3%しか取れなかったりする一方で、教育支援NGO「Room to Read」の創設者ジョン・ウッドをフィーチャーした番組が16%を取ったり、カンボジアに学校を建てるためのチャリティ番組が24%を取ったりもする。

 要するに、社会貢献が流行ってるのか、流行ってないのかよく分からないというのが実情で、分からない理由は社会貢献に関するちゃんとした定量調査が行なわれていなかったからである。マーケティングのプロなら、さまざまな社会現象を見てある程度の推測は可能だが、それは推測に過ぎず、やはりきちんと定量調査をしてみなければ実態は分からない。

 「社会に役立ちたいですか?」という質問に69%の人が「yes」と回答したからといって、その回答だけでは意味を成さないし、社会貢献意識が生活行動、消費行動にどう影響を与えているかは分からない。社会貢献がブームですよと言ったときに賛否が分かれるのも、定量的なデータがないのでみんなが自分の感覚で勝手なことを言ってるに過ぎないことが理由である。

「エシカル」とは何か?
新たな言葉が持つチカラ

今年3月に発売された『まだ“エシカル”を知らないあなたへ』(産業能率大学出版部)

 そんな状況の中、たぶん日本では初めて、本格的な「社会貢献消費意識に関する定量調査結果」が発表された。「デルフィス エシカル・プロジェクト」(以下、エシカル・プロジェクト)編著による『まだ“エシカル”を知らないあなたへ』
(産業能率大学出版部刊)である。

 エシカル・プロジェクトは、トヨタ自動車グループ100%出資のマーケティング会社である株式会社デルフィスの社内プロジェクトである。同社はプリウスの宣伝、販促も担当している。そんな背景から、2008年ごろからイギリスを中心に巻き起っていたエシカル・ムーブメントに注目したという。

 「エシカル(ethical)」とは聞きなれない言葉だと思うが、「connected with beliefs and principles about what is right and wrong」「morally correct or acceptable」(Oxford Advanced Learner's Dict.より)の意味で、訳語としては「倫理の、道徳上の」「(ある社会・職業集団の)道義にかなった、道徳的な」(ジーニアス英和大辞典より)となっている。「エシカル・ショップ」や「エシカル消費」などという使い方をする。筆者はエシカルを「社会的正義にかなった」という意味で解釈し使っている。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

「社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭」

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