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米大統領選で話題の“モルモン教”総本山を直撃(下)
モルモン色を薄めることで、逆に強みを失った?
“堅物の英雄”ロムニーの勝敗を占う学生たちの本音
――ジャーナリスト・長野美穂

長野美穂
2012年5月8日
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ミット・ロムニーが共和党の指名を勝ち取り、次期大統領の椅子をかけて、オバマ大統領と一騎打ちを行なうのはほぼ確実の情勢だ。11月の本選で「モルモン教」を信仰する大統領が誕生することになれば、米国史上初の出来事だ。

アメリカにおいては、宗教、とりわけキリスト教が政治に及ぼす影響力が絶大だ。過去に一夫多妻を奨励していた歴史を持つモルモン教を信仰するロムニーは、果たして米国民に受け入れられるのか。

前回は、モルモン教の総本山であるユタ州・ソルトレイクシティを訪ね、そこで暮らす信徒たちへの取材を通じて、ロムニー候補の原風景を探った。引き続き今回は、ロムニーの母校・ブリガムヤング大学を訪れ、大統領選の行く先を占ってみる。(取材・文・撮影/長野美穂)

モルモン教徒の学生比率は98.5%
ブリガムヤング大学で学ぶ若者の素顔

(上)ブリガムヤング大学のキャンパスのすぐ後ろには、ユタの雄大な山々が迫る。(下)ブリガムヤング大学のキャンパス。

 ユタ州プロボ市にあるブリガムヤング大学は、ミット・ロムニーの母校だ。1875年、モルモン教の創設者であるジョセフ・スミスの後継者だったブリガム・ヤングが創設した。モルモン教会が大学の最大のスポンサーである。

 ロムニーはいったい、どんな環境で青春を過ごしたのか。山の中腹にある「Y」の文字が目印のキャンパスを訪れてみた。

 ブリガムヤング大の学生数は、約3万3000人。そのうちモルモン教徒の学生の比率は98.5%。モルモン教徒でないのは、海外からの留学生ぐらいだ。

 入学するには、「オーナーコード」と呼ばれる規律に署名する必要がある。カンニングしない、などの学問上の規律だけではなく、たばこ、酒、コーヒーに手を出さないことも約束し、婚前のセックスや、肌を必要以上に出すような服装も禁止というモルモン教の教えに基づいた規律を守ることを、誓約するのだ。

 「ブリトニー・スピアーズみたいな服装をした学生は、ここでは見かけませんよ」と大学の広報。コードを破れば即座に退学というわけではないが、制裁はもちろんある。昨年の春、同大の強豪バスケットボール部のエース選手のブランドン・デイビースは、ガールフレンドとセックスをしたことを理由に、チームから1シーズン外され、全米のニュースになった。

 「同校の規律は厳しすぎるのでは」とメディアで話題にもなったが、当の在学生たちは、そうは思っていないようだ。

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長野美穂(ながの・みほ)/東京の出版社で雑誌編集記者として働いた後、渡米。ミシガン州の地元米新聞社でインターン記者として働き、中絶問題の記事でミシガン・プレス・アソシエーションのフィーチャー記事賞を受賞した。その後独立し、ネイティブ・アメリカンの取材などに没頭。ボストン大学大学院を経て、イリノイ州のノースウェスタン大大学院でジャーナリズムを専攻。カリフォルニア州ロサンゼルスの米新聞社での記者を務め、フリーランスジャーナリストとして活動している


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