激変!エネルギー最新事情
【第19回】 2018年10月30日
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ダイヤモンド・オンライン編集部
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日本人が知っておきたい、欧州の再生可能エネルギー先進事情

今後5年で最も成長率が高い
再エネ「バイオマス」とは

 そして、もう1つ注目したい再エネがバイオマスである。バイオマス原料はいくつかある。1つは家畜の糞尿で、もう1つは木を切り倒したときに出るチップやペレットと呼ばれる木の切りくず、間伐材などの木材を利用する。特に後者は、林業が盛んなフィンランドなど北欧諸国の再エネで積極的に利用されている。

 IEAは今年10月、バイオマスエネルギーが今後5年で最も成長率が高い再エネだと分析している。ただ、日本ではどうかというと状況は厳しい。バイオマス発電のためには、間伐材を山から切り出して運ぶための太い林道の存在がマストだが、日本では狭い山道しかなく、運ぶことが難しい。また、海外の安い材木に押され、林業そのものが縮小しているという事情もある。

浮体式洋上風力発電で勝負
日本は再エネ先進国になれるか

 ここまで読んでいただければおわかりの通り、再エネで日本の環境に向いているものはほとんどない。とはいえ、再エネシフトを目指す日本は手をこまねいているわけにはいかない。日本は不向きな環境でも再エネ発電する技術の開発に必死だ。たとえば、山岳地帯での太陽光発電や海底が深い地区での浮体式洋上風力発電の開発を急いでいる。

 特に、浮体式洋上風力発電施設は、2017年にはスコットランド沖に世界最大の発電所が稼働を開始するなど、世界的にも開発が進んでいる分野だ。日本もそこに活路を見出すべく手を打ちつつある。

 今年日本でも、日立造船や丸紅などが新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で、浮体式洋上風力発電システムの実証機を設置した。今までは洋上発電設備を建てるインフラがそもそもなく、建設のために欧州から借りたり、小型の船を使ったりしていたが、今年9月に大林組が大型着床式洋上風力発電設備を欧州同様に設置できる専用船の建造を決め、2020年10月完成予定と発表した。これにより、発電設備設置のコストが一気に下がる可能性も見えてきた。

 日本が再び「再エネ先進国」と呼ばれる日も来るのかもしれない。

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原子力発電所の再稼働のメドが立たない今、エネルギーの安定的な確保ができるかは国民生活にとって非常に重要な意味を持つ。国内ではスマートコミュニティや大型蓄電池、太陽光発電に代表される再生可能エネルギー、地熱発電、メタンハイドレートなど、さまざまなエネルギー源の実用化へ検討が進められている。エネルギーに関する最新事情をレポートする。

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