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加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!」 思考停止のニッポンをぶった切る

勇気を持って「外」へ出て、「個」を磨け

加藤嘉一
【第7回】 2012年5月14日
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いつか追いつかなければならない目標

 私が18歳で中国へ渡ってからの9年間、孤軍奮闘する中で、常に意識してきた人物がいる。プロ野球選手で、米大リーグのシアトル・マリナーズで活躍するイチロー選手だ。

 自分にどこまでも厳しく、自己管理を怠らず、明確に定めた目標を確実に達成してきたイチロー選手は、数え切れないほどのアメリカ人の対日観を変えたことだろう。私が活動するのは言論界であるが、「自らの奮闘で、中国人の対日観を変えたい」という信念を持って取り組んできた。

 「自分もイチロー選手に続かないといけない。さもなければ、世界の人たちは日本のことを忘れてしまう。日本人が外の世界で尊敬されなくなってしまう。決してそんなことがあってはならない。絶対にそうはさせない――」

 私はそう自分に言い聞かせ、奮い立たせてきた。イチロー選手は「雲の上の存在」としてではなく、いつか追いつきたい、追いつかなければならない目標として、私の心の中に常に意識させてもらっている。もう一度、今の自分の立場を自覚して、発信者としての役割を果たすべく、精進していきたい。

「個の力」で戦う同年代の同志たち

 イチロー選手は「いつか追いつかなければならない目標」であるが、他にも私には「同志」として意識させてもらっている存在がいる。「同志」たちは、世界で闘っていくうえで、私を落ち着かせてくれる。欧米で奮闘する同世代の日本人スポーツ選手たちだ。前回コラムで強調した「個の力」を発揮し、世界を相手に勝負を挑んでいる。

 一人目は一番意識している選手だ。同じ静岡県出身で、同い年の長谷部誠選手。ドイツ、ブンデスリーガのヴォルフスブルグで活躍している。著書『心を整える』も拝読した。自己管理を徹底するストイックなタイプで、問題意識の高さと好奇心の旺盛さにいつも感心させられている。

 日本代表主将として、リーダーシップを以て取り組む姿は、日本人として、また同年代として誇らしく思う。2014年に開催されるブラジルワールドカップ最終予選でも、プレー面に加えて、チームの精神的まとめ役として活躍してほしい。静岡から世界へ――。ともに汗を流していきたいと思っている。

 また、同じくドイツ、ブンデスリーガのドルトムントで、中心メンバーとしてリーグ二連覇に貢献した香川真司選手である。5月7日付のドイツの大衆紙ビルトでは、今季のベストイレブンに選ばれている。日本サッカー界の未来を背負っていく男だ。

 私はサッカーに関して技術的、戦術的なことは素人だが、その素人の目で見ても、香川選手のプレーは、「切れ味の次元が違う」と思う。見ている人たちをハッとさせるプレーは、間違いなくドイツ人たちの対日観を変えているだろう。「日本にもこんな奴がいたんだ」と。次の移籍先も注目されるが、思いっきり暴れてほしい。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!」 思考停止のニッポンをぶった切る

 「だったら、お前がやれ!」
この言葉が意味すること、それは「対案の無い無責任な批判はするな」ということだ。もともと、この言葉は加藤嘉一氏の亡くなった父の口癖だったが、加藤氏は自らの行動規範として常に心に留めている。相手に対して意見するとき、必ず自らに問いかける。
そんな加藤氏が今、憂いているのは、日本社会にあまりにも無責任な批判、意見、論評が多いということだ。本連載では、日本社会に蔓延る無責任な論評を、加藤氏の視点で切り込み、加藤氏なりの対案や考え方を示す。

「加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!」 思考停止のニッポンをぶった切る」

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