リンガーハットPhoto by Akira Yamamoto

週刊ダイヤモンド2018年11月17日号は「お得×旨い×テック 外食新格付け」です。少子高齢化や人件費の高騰で、厳しい生き残り競争が繰り広げられている外食産業。その競争の鍵は、一昔前の「美味しさ」や「おもてなし」から、ITやテクノロジー、ロボットなどによる生産性改革へと変わった。そんな潮流をいち早くつかみ、厨房をガラリと変えたリンガーハットの取り組みを紹介する。本誌に掲載した記事に加え、特集取材班が取材時に撮影した厨房内部の映像も合わせてお届けする。

熟練でなくても
ちゃんぽんが作れる

 かつてちゃんぽんは、強い火力のガスこんろで、重い中華鍋を振って作った。熟練者とそれ以外とでは味に大きな差が出たものだ。

 長崎ちゃんぽん専門店であるリンガーハットの現代の厨房には中華鍋を振る姿がない。中華鍋も包丁もない。誰でも同じ品質のちゃんぽんが作れる独自システムを開発し、全店に導入したからだ。

 中華鍋に代わるのは、自動で回転する大鍋と、小さな片手鍋。まず具材の野菜を回転鍋に投入し、一定時間たったら取り出す。それを麺などと共に片手鍋に入れ、鍋をIH調理器の上に置く。

 鍋はベルトコンベヤーのように調理器の上を自動で移動。調理器から押し出されたら調理完了。後は人の手で盛り付けて完成だ。