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1億超の会員を持つ巨大ホテルチェーンが
マスでなく「個客」対応を目指す理由

末岡洋子
2018年11月20日
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アプリがホテルライフを快適にする

 個人に合わせたサービスや製品を提供するパーソナライズの取り組みは、ホテルでも始まりつつあるようだ。2016年に136億ドルでStarwood Hotel & Resortsを買収し最大手となったMarriott International(マリオット・インターナショナル)は、デジタルの力を借りて1億1000万人という会員に個別対応するという。

 Marriottは30のホテルブランドを擁し、130ヵ国で6700のホテルを持つ巨大なホテルチェーンだ。「Sheraton」などを有する競合Starwoodを買収したことで、ロイヤリティプログラム「Marriott Rewards」のメンバーは1億1000万人に達している。買収作業が完了した現在、このロイヤリティプログラムをテコにデジタルを利用したパーソナライズサービスに向けた取り組みを進めている。

Marriottの新しいアプリは、部屋のデジタルキー(写真)として使ったり、ホテルのスタッフとチャットしながら飲み物を頼むなどのことができる

 Marriottに宿泊すると、部屋に備え付けられたタブレットでホテルの案内、天気、周辺の観光情報などがわかる。追加のシャンプーなどアメニティを頼むこともできる。Marriottのロイヤリティプログラムの会員なら、自分のスマートフォンの専用アプリで同じことができるだけでなく、チャットでなんでも聞くことができる。

 例えば、「スパを利用したいけど、営業時間は?」「ドキュメントをプリントアウトしたいけどどうすればいい?」など、ホテルに関する質問ができる。コンシェルジェやフロントの前に並んだり、備え付けの電話をかけて待たされることを考えると、はるかに効率がいい。慣れない海外であれば、外国語を話すよりも書くほうが難易度は低いだろう。アプリにはデジタルキー機能もあるため、(事前の設定と予約の種類によっては)フロントでチェックインすることなく自分の部屋に直行できる。

 このアプリは、MarriottのMarriott Reward、Starwoodの「Starwood Preferred Guest(SPG)」、そしてStarwoodが別に展開していたRitz-Carltonの「Ritz-Carlton Rewards」の3つのロイヤリティプログラムを統合して、8月にリニューアルしたものだ。

 ログインすると、過去の履歴、次の予約、現在のステータスなどの情報に加えて、プロフィールには客室の希望(バリアフリー、ベッドの種類、禁煙・喫煙、高層階か低層階か、枕の種類など)なども細かく設定できる。MarriottはSalesforce.comの「Service Cloud」などのクラウドを導入し、様々なチャネルで顧客とやりとりできるプラットフォームを構築した。

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末岡洋子

すえおか・ようこ/フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

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