米ロック歌手ブルース・スプリングスティーンの新作アルバム「レッキング・ボール」には、昨年米国で大規模化した運動「ウォール街を占拠せよ」を支持するメッセージが込められている。
彼は今年2月のパリでの記者会見で、次のように語った。「このアルバムの前半は、怒りだ。“平等な競技場”という考え方が破壊されてしまった」「2008年に巨大な金融危機が生じたが、説明責任はまったく果たされていない」。
米国のシンクタンクEPIが「CEOの給与とトップ1%」という論文を最近発表した。スプリングスティーンの問題意識に沿った内容である。1979~05年の米国のトップ1%の所得増加の58%は金融関係者だった。また、78~11年に労働者(非管理職)の給与の平均は5.7%しか上昇していないが、同時期に売上高上位350社の株式公開企業CEOの報酬(オプション行使を含む)の平均は759.3%増加した。
労働者の給与に対するCEOの報酬の比率は、65年は20.1倍だったが、2000年に383.4倍、07年に351.7倍を記録。リーマンショック後の09年に193.1倍へ低下するが、昨年は231倍へと再拡大を見せた。このような環境はFRBの金融政策にも負担をかける。