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山田厚史の「世界かわら版」

ギリシャに干渉したG8サミット
「民意」の反逆を恐れる首脳たち

山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
【第10回】 2012年5月24日
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 ワシントンで開かれたG8(主要国首脳会議)は、ギリシャの再選挙に干渉するような文言を首脳宣言に盛り込んだ。

 「ギリシャがユーロ圏に残ることへの我々の関心を確認する」(外務省仮訳)という表現で、「離脱するなよ」と念押ししたのである。世界のリーダーが束になって、他国の有権者に口を挟む。サミットも軽くなった。首脳たちは、「民意」が世界の秩序を壊すことを恐れている。

 世界が抱える問題を、大国の親分衆が集まり、腹を割って話し合う。それがサミットの原点だった。その始まりとなる政府高官の会議は1973年、変動相場制が始まった年に開催された。石油ショックもこの年に起きた。一国で済まない危機を、「文殊の知恵」で打開しようとしたのがサミットで、話し合うことに意味があった。

 いまのサミットは、にぎやかなパーティーに変貌した。メンバーは増え、熟議は霞み、社交と政策宣伝が幅を利かす。首脳が考えを深める場ではなく、民意にアピールする舞台になったのである。

とどまるも離れるも
痛みを伴う選択

 今回はギリシャへのメッセージが中央に掲げられた。「誤った選択をしてはいけない」、である。もともと大国の利害に沿って、世界経済を運営することがサミットの狙いだった。ギリシャ国民がどう考えるか、は二の次である。「ユーロ体制」がギリシャごときに振り回されては困る。ギリシャは「ユーロ体制のアキレス腱」であり、処理を誤ると地獄の釜の蓋が開いてしまう。救済はギリシャ国民の問題でなく、世界の秩序を護る正念場なのだ。

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山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]

やまだ あつし/1971年朝日新聞入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界など担当。ロンドン特派員として東欧の市場経済化、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。朝日新聞特別編集委員(経済担当)として大蔵行政や金融業界の体質を問う記事を執筆。2000年からバンコク特派員。2012年からフリージャーナリスト。CS放送「朝日ニュースター」で、「パックインジャーナル」のコメンテーターなど務める。

 


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元朝日新聞編集員で、反骨のジャーナリスト山田厚史が、世界中で起こる政治・経済の森羅万象に鋭く切り込む。その独自の視点で、強者の論理の欺瞞や矛盾、市場原理の裏に潜む冷徹な打算を解き明かします。

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