グローバル競争が激化するなか、日本企業は外国人や留学経験者などの採用・育成に力を入れ始めた。しかし、彼らをどう育成すべきかについては、企業自身もいまだ試行錯誤を続けているのが現状だ。そのため、せっかく採用した優秀な人材が、会社の体質や対応に不満を抱き、早々に会社を去ってしまうケースも増えているという。

 グローバル人材の育成に力を入れる人事担当者が、今目の前で感じている「課題」とは何か。そして、日本企業で働く留学経験者たちはどんな「ミスマッチ」を感じているのか。前回に引き続き、座談会出席者に議論を深めてもらおう。

 米国大学院学生会の協力のもと、座談会には、企業で働く20~30代の留学経験者3名、グローバル人材の育成に力を入れる有名企業の人事担当者2名に参加してもらった。
(司会進行/坂本啓(米国大学院学生会幹事)、まとめ/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)

グローバル社員と日本の上司は、なぜうまくいかないのか。5人は、さらに具体的なテーマについて話し合う。「わかり合えない空気」の背景には、文化と教育の差もありそうだ。

座談会出席者
 
●留学経験者(3名)
Aさん(男性)/日本の高校を卒業後、米国へ留学。米国の大学で学士号を取得後、マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了。現在、外資系医療機器メーカーに勤務。
Bさん(女性)/マサチューセッツ工科大学学士卒業、博士課程修了。海外で生まれ育ち、日本人学校に通学。高校はインターナショナルスクール。現在、外資系医療機器メーカーに勤務。
Cさん(男性)/マサチューセッツ工科大学博士課程修了。2007年に帰国、その後民間シンクタンクに就職。主にエネルギー政策を担当。
 
●人事担当者(2名)
Dさん(男性)/コンサルティング会社の勤務を経て、電気機器メーカーに転職。現在、人事部門でグローバル人材マネジメントを担当。
Eさん(男性)/大手日系製薬企業の採用担当としてキャリア入社、グローバル採用の立ち上げに関わる(現在は異動)。
 
●進行
坂本啓/今回の座談会の進行役。日本の理工系大学の教員。米国大学院学生会幹事。日本の大学在学中に、カリフォルニア大学サンディエゴ校に1年間交換留学。大学院でコロラド大学ボルダー校に編入し、博士号を取得。ポストドクター研究員としてマサチューセッツ工科大学に滞在後、5年前に帰国して現職。