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今週のキーワード 真壁昭夫

相次ぐ経営統合は日本を救うか?
「大再編時代」到来の“光”と“影”

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第87回】 2009年7月28日
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 最近、わが国を代表する大企業同士の“経営統合”の動きが目立っている。

 直近のケースで言えば、食品業界におけるトップのキリンホールディングスと同2位のサントリーホールディングスの合併、半導体業界において、NECエレクトロニクスとルネサス・テクノロジーの統合によって世界第3位の半導体メーカーが誕生することなどが、その代表例と言える。

 これらはまだ氷山の一角に過ぎない。経済専門家のあいだでは、「水面下では大企業の様々な経営統合話が進展しており、今後、いくつかのケースが表面化する」との見方が有力だ。

 こうした大型企業統合の背景にあるものは、主に3つの要素を考えるとわかり易い。

 1つ目は、「拡大期待の乏しい国内の市場環境」だ。わが国の人口は2005年にピークを迎え、すでに減少局面に入っている。しかも、少子高齢化は世界最速のペースで進んでおり、国内市場の多くの分野で、今後、需要の増加を見込むことが難しくなっている。

 それに拍車をかけているのが、昨今の大不況による消費減退だ。そのため、各企業とも「このままではジリ貧に陥る」という危機感を強く抱いているのだ。

 2つ目は、「規模拡大による経営の効率化」。前述のような危機感により、企業経営者が最初に思いつくことは、ある程度の企業規模を持つ企業同士が統合して経営の効率化を図ると同時に、市場を寡占化することで価格の下落を押さえることだ。

 そして3つ目は、「海外展開」である。国内市場に固執しているとジリ貧になるのであれば、より広い市場を求めて海外展開を積極化する選択肢を取らざるを得ない。

 ただし、積極的な国際展開には大きなリスクを伴う。海外市場に展開するとなれば、為替変動などのリスクは避けられないため、そのリスクに耐えられる体力を持つ必要がある。大型企業同士が経営統合することは、その条件を満たす手っ取り早い方策である。

 ただし、大型企業同士の合併が、常に明るい“光”の部分だけと言うわけではない。

 企業文化が異なる企業同士の融和が進まなければ、合併の実効性は上がらない。また、市場の寡占化が進むことで、中小の企業が淘汰される可能性も高まる。大型企業の統合には、そうした“影”の部分も付きまとうことになる。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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