春を告げる桜が各地で開花し、学校でも新学期がスタートした。学生の本分は勉学に励むことだが、これから先の自分の暮らしを守るために、学生の間にぜひとも身につけておいてほしいのが公的な社会保障に関する基礎知識だ。
公的な社会保障には、健康保険、介護保険、年金保険、雇用保険など、日常生活のなかで起こるさまざまなリスクに対応するためのものが用意されているが、今回、取り上げたいのは、学生にも深くかかわる国民年金だ。
日本では、この国で暮らす20~59歳のすべての人に、公的な年金保険への加入を義務づけており、20歳になれば学生でも対象だ。ところが、年金制度への誤解から、若い世代の保険料納付率は低い水準でとどまっている。
障害年金受給者の10人にひとりは
20歳代の若年世代という現実
「平成29年度の国民年金の加入・保険料納付状況」(厚生労働省)によると、20~24歳の国民年金納付率は62.4%。25~30歳は54.87%で、全世代平均の66.4%を大きく下回っている。
「年金は老後にもらうもの」というイメージが強いが、公的な年金保険からの給付はそれだけではない。老後の生活を支える「老齢年金」に加えて、万一のことがあった場合に残された家族に給付される「遺族年金」、病気やケガをして一定の障害が残った場合に給付される「障害年金」もある。
老齢年金は高齢にならないともらえないし、遺族年金は扶養家族のいる人を対象としたものだが、病気やケガは年齢や性別に関係なく誰にでも起こるうるリスクで、若い世代も障害年金を受給する可能性は否定できない。