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崖っぷち日本の産業は中国や韓国にまだ勝てる!
“軽薄短小”への原点回帰こそが、復活への道

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第229回】 2012年6月12日
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中国、台湾、韓国に追い上げられても
インフラ投資関連では比較優位性を維持

 わが国の産業界を取り巻く経済環境は、一段と厳しさを増している。自動車や高級デジタルカメラなど、一部組み立て型産業や素材などの分野で善戦しているものの、IT関連製品は次々にヒット商品を生み続けるアップルの後ろ姿が見えなくなっている。

 それに加えて、ライバルである韓国や中国、台湾企業の台頭は目を見張るものがある。すでに、有機EL技術などでは韓国などの後塵を拝する状況に追い込まれている。

 こうした状況を打開するため、わが国企業は何をすればよいのだろうか。それには、2つの選択肢がある。

 1つは、現在でも優位性を維持している分野でさらに競争力を付けることだ。素材産業やインフラ関連の分野では、今でもわが国企業が比較優位性を維持している分野がある。それらをさらに磨いて、ライバル企業の追随が難しいほどの競争力を付けるのである。

 特に、わが国が相応の優位性を持つインフラ投資関連の建設、土木、水関連、運輸、通信などは、今後、アジアの新興国にとってどうしても必要な分野だ。その需要を取り込めばよい。

 もう1つは、微細なモノ作り、“軽薄短小”と呼ばれる分野への回帰だ。もともと、わが国はそうした分野の技術を得意としている。振り返ると、1970年代以降の2回にわたるオイルショックを経験した後でも、わが国の産業界は“軽薄短小”の技術力で世界の工場としての地位を確固たるものにした。

 その原点に回帰する発想によって、もう一度、わが国産業の優位性を復活するのである。企業の現場の技術者と話していると、“軽薄短小”の発想は、わが国経済再生の重要なヒントになると感じる。

 1980年代、わが国は“世界の工場”と称された。わが国でつくる自動車や電気製品の多くは、高いシェアを占め、世界市場を席巻する勢いがあった。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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