スカイツリー開業にあわせて
露出拡大したが…

メディアのミスリードに惑わされるな!<br />「スカイツリーの街」のEVは“すみだの心意気”<br />超小型モビリティ、新ビジネスにあらずPhoto by Kenji Momota

 東京スカイツリーをバックに、小型EVが走る。

 そのクルマの名前は、「HOKUSAI-III」。葛飾北斎の生誕地“すみだ”で、地元の中小企業有志たち“すみだ新製品開発プロジェクト実行委員会”が企画制作したEVの第三弾だ。

 同車は最近、テレビ、新聞、ウェブなどで取り上げられることが多い。

 そのなかで、以下のような言葉が並んだ。

「モノづくりの街の再生」、「中小企業の底力」、「部品点数が少ないEVには、中小企業が参入しやすく、将来有望な産業」、「国内製造業の空洞化、打開へのキッカケ」などだ。

 さらにタイミングよく、国土交通省・都市局・自動車局が同年6月4日、「超小型モビリティ導入に向けたガイドライン」を発表。そのなかで、その導入による効果・社会便益として「CO2の削減」、「都市や地域の新たなる交通手段」、「観光・地域新興」、「高齢者・子育て支援」を掲げた。

 今回のガイドライン発表を受けて、各メディアは、今年夏にも道路運送車両法が一部改定され、第一種原動機付自転車(ミニカー)と軽自動車の中間に「2人乗り超小型モビリティ」等が新設されると報じた。

 こうした様々な報道がゴチャ混ぜになっていると思う。その結果、“すみだのEV”の本質が一般大衆に正確に伝わっていないのではないかと思える。なぜなら筆者は昨年、本連載で超小型モビリティについて数回紹介した。そのなかで、最終的に記事化はしなかったのだが、“すみだのEV”の歩んできた道のりについても十分に承知していたからだ。

 そこで今回の取材ではまず、“すみだの今”を感じることから始めた。東京スカイツリー開業前に墨田区周辺を歩き、同開業当日朝から隣接する商業施設“ソラマチ”を取材した。そして数日後、“すみだのEV”の関係者にお目にかかり、最新作“HOKUSAI-III”に試乗させて頂いた。