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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

「自然利子率の押し上げ」と
「実質政策金利の引き下げ」が欠かせない理由
――森田京平・バークレイズ・キャピタル証券
チーフエコノミスト

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第66回】 2012年6月13日
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金融政策の目的は物価の安定と
実体経済の健全な発展

 欧州の債務問題、米・中の景気減速、日本の円高など、追加金融緩和に向けた市場の期待を強める要素が連なっている。一方、追加緩和が実体経済を刺激する経路はますます細くなっている。

 金融政策がどんな経路を経て効果を発揮するにせよ、その目的は物価の安定と実体経済の健全な発展であろう。たとえば日銀法第2条は、「物価の安定」を通じて「国民経済の健全な発展に資する」としている。

 米国の連邦準備法(Federal Reserve Act)も、金融政策の目的として“maximum employment”(雇用の最大化=実体経済の代理変数)、“stable prices”(物価の安定)、“moderate long-term interest rates”(適度な長期金利)の3つを挙げている。特に前者2つは“dual mandate”と呼ばれる。いずれにせよ、物価と実体経済を安定させることが金融政策の目的と言える。

長期的な下落トレンドを辿った
日本の「名目GDP/ベースマネー」比率

 物価と実体経済は名目GDPに集約される。この名目GDPのベースマネー(=銀行券発行残高+中央銀行当座預金+貨幣流通高)に対する比率が高ければ、金融政策は実体経済と太いパイプで結びついているとの解釈が一応可能となる。

 1970年のこの比率は、日・米ともに16倍強といずれも高水準にあった(図表1参照)。その後、1980年代に入ると日本の同比率は下落し始め、足元では4倍程度となっている。

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森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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