必ず出てくる「主権者教育」

 「成人年齢の引き下げ」「候補者男女均等法」、18歳選挙権といった動きを受けて、数年前から主権者教育を意識した出題が多くなっている点が顕著で、2020年以降もこの傾向は続くものと見られる。その流れで、「政治的」な問題が出てくるようになっている。

中高一貫138校を分析して判明!入試で出る「時事問題」18歳選挙権から始まった「主権者教育」は今後も出題が予想されるテーマだ(イラスト/直美)

 明治大学附属明治や鷗友学園では、「森友」「データ改ざん」で省名、「証人喚問」に関連して国政調査権が問われた。国政調査権は昨年、女子学院などで答えさせている。聖光学院では「候補者男女均等法」の関連で、日本の女性議員や初めて女性の国政参政権を認めた国などを尋ねている。

 極め付きは学習院女子で、問題文に続いて、このような設問がなされていた。

・支持する政党のない人たちが増えている。この理由について、あなたの考えを述べなさい。
・単独の政党が長い期間、与党であり続けると問題が起こりやすくなるといわれる。どのような問題が起こるのか説明しなさい。
・政権を担当しない政党を【  】といいますが、これにも重要な役割があります。どのような役割があるのか、あなたの考えを述べなさい。

 「無党派層の増加」「政権長期化の弊害」「野党の役割」について、字数制限のない記述で自分の考えを明らかにさせようとしている。何が正解かは置いておいても、小6生に主権者としての意見を求めている点で、画期的である。

 もう1つ、最近の顕著な傾向としては、問題文が長文化している点が挙げられる。これは社会に限ったものではなく、理科や算数でもそうだが、じっくり考えさせる傾向にある。問題文を正しく読み解く国語力がないと解答には至らない。

 また、自然災害や気象など、社会と理科を融合させたような問題も増えている。教科の枠を超えた問い掛けは今後も増え続けるだろう。