前回のコラムで、シングルペアレントの困窮対策が焦眉の急である旨を述べた。実は、わが国はもう1つ、喫緊の課題を抱えている。それは、年間で3万人を下らない自殺対策の問題である。今回は、この問題を取り上げてみたい。

14年連続3万人超という異常事態

 内閣府は、6月11日、自殺対策基本法に基づく2012年版自殺対策白書を公表し、国会に提出した。それによると、警察庁の自殺統計に基づくわが国の自殺者数は、1998年以来、14年連続して3万人を超え、2011年には3万651人となった。その内訳は、男子が2万955人、女子が9696人であり、女子はこの30年間ほど概ね横ばい傾向を示しているものの、1998年以来、男子の自殺者が急上昇したことが、自殺がこれほど大きな社会問題となった背景である。

 これを年齢別に見ると、60代が5547人(自殺者全体に占める割合は18.1%)、50代が5375人(17.5%)、40代が5053人(16.5%)、30代が4455人(14.5%)、70代が3685人(12.0%)、20代が3304人(10.8%)、80代以上が2429人(7.9%)、10代以下が622人(2.0%)となっている。

 ところで、2010年における年齢階級毎の死因別順位を見ると(下表1)、驚愕せずにはいられない。特に男子では、まさに働き盛りの20歳から44歳にかけて、自殺が原因の第1位を占め、女子でも15歳から34歳にかけては、自殺が原因の第1位となっているのである。