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出口治明の提言:日本の優先順位

孤住から混住へ――人口減少社会への処方箋「コレクティブハウス」のメリット

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]
【第51回】 2012年6月12日
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 20世紀後半の「わが国の奇跡の半世紀」を実現した原動力は、人口の増加とそれを基因とした高度成長であった。これに対して、21世紀のわが国は、人口の減少と経済の低成長という歯車の逆回転に直面している。歴史上、人口が減少し続けて、なお栄えた国や地域があったことは、寡聞にして知らない。

 わが国にとって、最大の政策課題は、必死に人口を増やす施策の総動員であることは、以前の当コラムで述べた通りである。しかし、人口の増加には、一定の時間を要する。それまでは、ある程度人口の減少を所与として、様々な政策を立案していくしか、方法がない。

1人暮らし世帯をどうするか

 最新の国勢調査(2010年)によると、1人暮らし世帯(32.4%)と、シングルペアレント世帯(8.7%)を合わせて、実に4割の世帯が大人一人で居住している事実がうかがえる。いわゆる「孤住」である。高齢者の孤独死をはじめとして、孤住に伴う様々な問題点が指摘されているが、20世紀のわが国は、ほとんどの世帯がカップルと子どもで構成されており(いわゆる核家族)、孤住は全くの少数派で、大きな社会問題となることはなかったのである。これが一転して、現在のわが国では孤住が最大のグループとなってしまったのである。

 東アフリカのサバンナで生まれたホモ・サピエンスは、数十人の群を1つの単位として、生活を営んでいたと言われている。人間は集団生活が自然な姿であって、助けを必要とする子どもや高齢者は、集団で面倒を見ることが、普通の状態であったのだ。人間の長い歴史を紐解いても、孤住が極めて特異な現象であることは、容易に見てとれよう。極論かも知れないが、孤住という不自然な生活様式は、人間を少しずつむしばんでいくのではないだろうか。

 では、どうすればいいのか。1つの解は、コレクティブハウスであると考える。すなわち、共通のダイニングルームとリビングルームを持ち、寝室は個室とした共同住宅を大量に供給していくことである(公営住居をコレクティブハウスにすることについては、以前の当コラムで書いたので、参照してほしい)。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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