共通点を抜き出す

 この考え方がどうして「問題解決」で役に立つかというと、今までに経験した問題と新たな問題を、何かしらの共通点で束にしてグループ化することで、パターン認識が可能になるからです。「こういう問題では○○を原因としてまず疑う」と、あらかじめ自分の中にストックしてあるパターンを、解決策を考えるときに応用できるようにするのです。

 普段の生活でも、我々はパターン認識を無意識に行っています。いわゆる「ベテランのさじ加減」の正体もパターン認識です。それまでに蓄積された一つひとつの経験から、「こういうときはこうしたほうがいい」とパターンを見つけ出し、微調整をしているのです。

 悩みを誰かに相談するときも同じです。それが恋の悩みならば、普通は恋愛経験者を選ぶはずです。相談された側は、自身の経験と照らし合わせてアドバイスをするでしょう。

 すべての具体的な問題をいちいちゼロから考えていては、切りがありません。同じ性質を持つものはグループ化して、同じ方法で根本的原因を見つけるのが、「できる人」です。

 難しく考えず、共通点を抜き出す、と理解してください。

 これは「戦略」です。私は状況に応じて使い分けています。落ち葉でどんぐりが見つからないときは箒(ほうき)、砂の中から貝を見つけたいときは篩(ふるい)というような具合で、欲しいものを見つけるのです。