総合病院で2000人のリハビリに関わってきた理学療法士が、ストレッチよりはるかに簡単なのに、驚くほど効果のある奇跡の「うつぶせ」療法を紹介した本『うつぶせ1分で健康になる』を刊行しました。
たった1分の「うつぶせ」を習慣にするだけで、猫背、腰痛、肩こり、首の痛み、不眠、疲労、冷えといった体の不調が改善し、高齢者には誤嚥予防にもなります。
「うつぶせになるだけで、本当にそんなに効果があるの?」
と思うでしょうが、どうしてそんなに効果があるのか、その納得の理由を『うつぶせ1分で健康になる』から、本書を監修してくれた整形外科専門医、岡田欣之医師のコメントを一部抜粋し、再構成して紹介します。

整形外科専門医の立場から考える<br />「うつぶせ」はなぜ効果があるのか?

背中がひどく曲がっている人に
画期的な方法

 呼吸の改善もそうですが、「姿勢改善のためにうつぶせをやりましょう」というのは今までになかった概念です。
 年を重ねてくると、どうしても後弯(こうわん)といって背中が前に曲がっていく人が多いのが現状で、後弯をどう制御するかがとても重要になってきます。
 医師としてもそれはわかっているのですが、「姿勢をよくしましょう」というようなことしか言えませんでした。
 姿勢に関しては、理学療法士のほうが専門家です。
 その経験から生まれたこの方法は、とても具体的でいいのではないかと思います。

 整形外科の外来に来る患者さんの中には、ひどい肩こりで肩が上がらないという人が多くいます。
 整形外科医は、体をレントゲンで横から見た時に、第一頸椎・第一胸椎・第一腰椎・第一仙骨が一直線に並ぶのがいい姿勢だと考えますが、肩や首が痛い人のほとんどが前にずれています。
 つまり、横から見ると背中が極端に曲がっているのです。

 曲がった背骨を、うつぶせになってまっすぐにするというのは非常にいい考え方ではないでしょうか。
 実際は仰向けでも同じ効果がありますが、体が前向きに曲がり、さらに硬くなっているような人の場合、体がシーソーのようになってしまって難しいはずです。
 そういった人でもうつぶせならできますし、胸郭(肺を取り巻く骨格)が上下に広がるため、しなっている部分が広がってくるはずです。
 背中がひどく曲がってしまっている人にとっては画期的な方法と言えるでしょう。

 注意点としては、うつぶせのまま寝てしまわないことです。