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なぜ「つながる」ほどに「疲れ」を感じるのか?
【第2回】 2012年6月29日
著者・コラム紹介バックナンバー
小川和也 [グランドデザイン&カンパニー代表取締役社長]

Facebookで「仮面」をかぶる就活生
――ソーシャルメディア・アイデンティティの光と影

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「つながるのって結構疲れるんだな」
TwitterやFacebookでのコミュニケーションを楽しみながらも、時にそれらを重荷にも感じてしまうことはありませんか――。
そんな問いかけから始まり、「つながり疲れ」の本質と処方箋に迫る本連載。第2回は、Facebook上で「好意」を集められるような「仮面」をかぶってしまった就活生のエピソードから、「ソーシャルメディア・アイデンティティ」という問題を読み解く。
1日に40億もの好意――いいね!――が飛び交う世界で、振り回されずに生きるにはどうすればいいのだろうか。

「味」じゃないモノサシで評価された料理

 「男の料理教室」に通い始めた知人がいる。

 あるとき彼は、そこで覚えた料理を自宅で作り、iPhoneで写真を撮ってFacebookに投稿してみた。2時間くらい経った頃になにげなくFacebookを覗いてみたところ、30人以上の「いいね!」が押され、「お上手!」「美味しそう!」といったコメントも10件ほど寄せられた。

 正直、まだまだ初心者で、他人に振る舞うほどのレベルではないと自認している。だが、Facebookの中では、味ではなく料理を作るようになったという試み自体が賞賛され、最終的には80人ほどの「いいね!」と20件ほどのコメントが集まった。当の本人はそのことを、「たいした腕前でもないのに、一流の料理人にでもなったかのような感じだよ」と謙遜していたが、とても嬉しそうに語っていた。

 これがきっかけとなったのだろう、料理教室通いとFacebookへの料理の写真投稿は、以前にも増して熱心だ。

40億もの「好意」がさらされる世界で

 自分(の投稿)に対する「好意」の集積が「他人の目にさらされる」という喜び。前回の記事で「薬効」としてとりあげたこのポイントこそが、料理の共有にハマった彼のように、ユーザーが自分から積極的に投稿しようとする最大の理由だろう。

 今日のFacebook上では、投稿や「いいね!(Likeボタン)」を押して人に共有するという行為が、1日で40億件ほどなされているという。その共有行為に対する金銭的な報酬などない。報酬なき自発的行為を支えているのは、まさに「好意」の共有がもたらす快感に他ならない。誰だって、自分に「好意」を示されることは嬉しいはずだ。

 Facebookは歴史上で最も「好意」のやり取りを簡便にしたと言っても過言ではなく、その喜びを世界中の人々が享受している。Facebookが世界中で多くのユーザーを獲得し、中国の総人口約13億人、インドの総人口約12億人に次ぐ巨大国家レベルのユーザー規模を持つまでに至ったことは、その喜びに人々がいかに酔いしれているかを象徴的に表している。

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    小川和也 [グランドデザイン&カンパニー代表取締役社長]

    グランドデザイン&カンパニー代表取締役社長。西武文理大学特命教授。
    1971年生まれ。1995年慶応義塾大学法学部卒業後、大手損害保険会社勤務を経て、2004年にグランドデザイン&カンパニーを創業。テクノロジー×クリエイティブの視点で、ソーシャルメディアとモバイルを軸としたインターネット事業を手がける。その黎明期から、ソーシャルメディアを中心とした題材の執筆や講演を多数行っており、ソーシャルメディアの普及とその背後にある課題等を論じ続けている。


    なぜ「つながる」ほどに「疲れ」を感じるのか?

    twitterやfacebookが世界中で利用されるようになり、「社会インフラ」として定着してきた感のあるソーシャルメディア。使わないと乗り遅れそうで始めてみたものの、何となく手を余してはいないだろうか。そして使っているうちに、どこか「行き詰るような疲れ」を感じてはいないだろうか。
    ソーシャルメディアは人を魅了する一方で、気疲れも与えうるものでもある。
    本連載では、twitter、facebookやmixiなどのソーシャルメディアの特性をよく知る著者が、自身の体験と寄せられる相談などから得た実例をもとに、多くの人々が潜在的に抱えている「ソーシャルメディア以降の人間関係や人とのつながりのあり方」に対するモヤモヤ感を言葉化して解消していく。それと同時に、これから先の動向を探り、それに即した人間関係の築き方、ソーシャルメディアを用いた「ほんの少しラクなつながり方」までを提示する。

    「なぜ「つながる」ほどに「疲れ」を感じるのか?」

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