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なぜ「つながる」ほどに「疲れ」を感じるのか?
【第1回】 2012年6月22日
著者・コラム紹介バックナンバー
小川和也 [グランドデザイン&カンパニー代表取締役社長]

つながることは本当に幸せか
――「つながり疲れ」を感じていませんか?

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「最近、つぶやくのに疲れてきたんだ……」
「気がついたらFacebookをチェックしている自分がいる」
Twitter、そして全世界での利用者数が10億人に迫る勢いのFacebook。これらソーシャルメディアは、日本でも日常のコミュニケーションの場として随分定着してきたかに見える。しかし一方で、急速に普及したがゆえの「ひずみ」からか、疲労やモヤモヤを感じ始めている人も増えている。
本連載では、黎明期からソーシャルメディアビジネスに携わっている小川和也氏が、「つながり疲れ」の存在を提起し(第1回)、原因を明らかにしたうえで(第2、3回)、ソーシャルメディアとの距離のとり方を提示する(第4、5回)、全5回連載。
まずは、身に覚えのある日常的な話から、糸口を探していこう。

その「いいね!」、本当に「いいね!」ですか?
――ある日の通勤電車にて

 朝の通勤電車の中では、ずっとiPhoneと対面している。元々は、本や新聞を読むことが日課だった。しかし最近は、iPhoneでFacebookとにらめっこすることがほとんどだ。昨日、Facebookに投稿したのは3つ。1つ目は最近観た映画の感想。2つ目は飼い猫の写真。3つ目は先週釣った魚の写真。それぞれに17、24、31の「いいね!」がついている。ありがたいことに、自分のささやかな日常に、昨日もたくさんの共感をしてもらえたようだ。

 心のどこかでほっとしながら、みんなの「いいね!」に応えるかのように、自分もいろいろな投稿に「いいね!」を押す。もちろん、そこには感心や共感が伴っている、はずだ

 当然、すべてのものに「いいね!」を押している訳じゃない。ちゃんと選別して押している。そう、まさしく「いいね!」と思っている、はずなんだ。そう、みんなも「いいね!」と思ってくれているはず……。

 しかし、改めてそんなことを考えてみると、いささか不安になってきた。何となく義理で押している時がないわけじゃない。特に、上司の投稿にはできる限り「いいね!」を押すようにしている。「いいね!」という表現とイコールではない気持ちのときもある。ただ、「いいね!」という表現しかしようがないから(ボタンがそれしかないから)、「なるほどね」というのが本当の感想だったとしても、「いいね!」で代用しているときがある。

 ということは……。自分の投稿につく「いいね!」にも、同じような「いいね!」――本当は「いいね!」じゃない「いいね!」――が含まれているのかもしれない。そう思うと、何だかもやもやしてきたし、ちょっとした虚しさが込み上げてきた――。

 gooリサーチが2011年11月に調査した「ソーシャル疲れ」「つながり疲れ」の原因に関するランキングがある。それによると、トップは「毎日Twitterにベッタリ張り付きでみている」だった。以下、3位が「毎日フォロワー数をチェックしている」、4位が「いいね!をつけてほしくて投稿ばかりしている」などが挙げられている。

 また、メール、Twitter、Facebookをすべて利用している人の42%が「孤独を感じる」と答えている。コミュニケーションを豊かにするはずの手段が、逆に疲れや孤独を生み出しているのだとすれば、何とも皮肉な現象だ。

 この調査が実態を示しているとすれば、先のもやもやも、虚しさが込み上げてくることも、おかしな話ではない。実際、コミュニケーションを楽しんでいるはずが、いつのまにか疲れと孤独を深めているという人は少なくない。

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小川和也 [グランドデザイン&カンパニー代表取締役社長]

グランドデザイン&カンパニー代表取締役社長。西武文理大学特命教授。
1971年生まれ。1995年慶応義塾大学法学部卒業後、大手損害保険会社勤務を経て、2004年にグランドデザイン&カンパニーを創業。テクノロジー×クリエイティブの視点で、ソーシャルメディアとモバイルを軸としたインターネット事業を手がける。その黎明期から、ソーシャルメディアを中心とした題材の執筆や講演を多数行っており、ソーシャルメディアの普及とその背後にある課題等を論じ続けている。


なぜ「つながる」ほどに「疲れ」を感じるのか?

twitterやfacebookが世界中で利用されるようになり、「社会インフラ」として定着してきた感のあるソーシャルメディア。使わないと乗り遅れそうで始めてみたものの、何となく手を余してはいないだろうか。そして使っているうちに、どこか「行き詰るような疲れ」を感じてはいないだろうか。
ソーシャルメディアは人を魅了する一方で、気疲れも与えうるものでもある。
本連載では、twitter、facebookやmixiなどのソーシャルメディアの特性をよく知る著者が、自身の体験と寄せられる相談などから得た実例をもとに、多くの人々が潜在的に抱えている「ソーシャルメディア以降の人間関係や人とのつながりのあり方」に対するモヤモヤ感を言葉化して解消していく。それと同時に、これから先の動向を探り、それに即した人間関係の築き方、ソーシャルメディアを用いた「ほんの少しラクなつながり方」までを提示する。

「なぜ「つながる」ほどに「疲れ」を感じるのか?」

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