譲渡契約書に条件をしっかり盛り込んで

 M&Aが実施された後の戦略、つまりPMI(Post Merger Integration)と呼ばれる統合戦略については、買い手企業から詳細にヒアリングし、売り手企業の条件を譲渡契約書に拘束力のある形で盛り込まなければなりません

 それができていれば、最悪の事態は避けられたでしょう。

 これは非常によくあるケースです。

 より大きな企業やより信用力のある安定した企業と一緒になれば守ってもらえると思い違いし、蓋を開けたらそのままのみ込まれてしまったケースです。

 このケースでは、A社がC社を隠れみのとして使った可能性さえ疑われます
 当初から悪意があったのか、C社に売却が決定してからA社が提案したのか、真相はやぶの中です。しかし、事業方針や従業員を何より最優先したいという売却戦略であるならば、売却した後向こう何年間かの誓約を結ぶべきでした。
 C社とA社の関係が近かったことも、買い手企業の「身体検査」を詳細に行っておけばわかったかもしれません。買い手企業の「深掘り」を怠ると、最悪の事態になるという、典型的な事例です。

※次回は、オーナーの独断で進めたM&Aが、直前で破談になってしまったケースをお伝えします(7月18日公開予定)。