ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
今週のキーワード 真壁昭夫

一経済学者から見た“小沢政局”の岡目八目
政治家たちのロジックを国民が理解し難い理由

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第232回】 2012年7月3日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

すでに政党の意味は薄れている
合理性のない「小沢政局」の顛末

 政治の世界で起きることは、ときに理解ができないことがある。それはおそらく、実際にそこで起きていることが、合理性などのロジックに基づいたものではないからかもしれない。

 政治の舞台で活躍する人たちは、ときに国民のためよりも、強烈な権力欲に駆られて行動することがあるという。権力欲も1つのロジックかもしれないが、有力な政治家の考え方を理解できる人は、きっと一握りの政治専門家と言われる人たちだけだろう。だから、いつまでも政治は、我々にとって別の世界になっている。

 6月26日、社会保障・税一体改革関連法案が、民主、自民、公明3党などの賛成多数で衆議員を通過した。その際民主党は、「消費税増税反対」を唱える小沢グループをはじめ、57人が反対、15人が欠席・棄権するという大量造反者を出した。足もとでは、小沢一郎元代表らが離党すると発表、新党結成の見通しも報じられている。

 今回の“小沢政局”を見て最初に感じたことは、政党の意味がかなり低下していることだ。わが国の政治体制は、各政党を基盤とした議院内閣制と理解されている。その仕組みでは、国民からより多くの負託を受けた議員を要する政党の党首が総理大臣となり、内閣を組織することになっている。

 現在のわが国の選挙制度の中に、比例代表制という仕組みがある。それは、各政党が得た得票に応じて、当該政党が示した順番で当選者が決定されるシステムだ。

 そこで前提とされる政党は、少なくも重要な点で、同一の意見を持つ人たちの集まりであることが想定されているはずである。ところが、今回の“小沢政局”では、かなり多くの党員が他の党員と大きく異なった意見を持っていた。

 こう考えると、政党とはいったい何なのだろう。少なくとも、サッカーや野球の試合のように結束したチームではなさそうだ。何故なら、民主党の内部には、他にも違った見解を持つ人たちがいるようだからだ。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


今週のキーワード 真壁昭夫

経済・ビジネス・社会現象……。いま世の中で話題となっているトピックス、注目すべきイノベーションなどに対して、「キーワード」という視点で解説していきます。

「今週のキーワード 真壁昭夫」

⇒バックナンバー一覧