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金融市場異論百出

観光客も自動車保有者も減少
現地で見えたギリシャの実態

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2012年7月18日
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 「私も給料を50%カットされました」。先日、ギリシャのアテネで、政府機関のエコノミストに公的部門の支出削減状況を尋ねたとき、彼はそう答えた。年金の支給額は既に30%カットされている。

 給与減、解雇、増税で車を持てなくなった人が増え、中古車価格は暴落している。地元紙によると、2007年型メルセデス・ベンツC200の相場はわずか1.6万ユーロという。6月の新車販売は、前年比44.3%減だった。アテネのデパートでは大幅な値引きのバーゲンが行われていた。

 一般の人々に対する増税は限界に来ている。ギリシャの地下経済は、GDPの30~45%と推計されている。そこからいかに徴税するかが重要である。恐ろしいほど非効率な官僚組織の改革も急務だ。あるビジネスマンは、新しい事業の認可を得ようとしたら役所からスタンプを17回ももらう必要があったと話していた。

 ギリシャのGDPに対する観光業の比率は15.7%(11年)。昨年はエジプトの政情不安で観光客がギリシャに流れたが、アテネで暴動やストライキが起きた。今年はクルーズ船がアテネを避けるなど、観光客が大きく減っている。

 もっとも、ある観光業関係者は、「外国のテレビが去年の暴動を度々大げさに報道し過ぎたせいで、“ギリシャは危険”というイメージが増幅された。実際の暴動は狭い範囲で時間的にも限られていたのに」と嘆いていた。ドイツ語が堪能なエコノミストは、「家でドイツのテレビを見ているが、間違った報道が多い。“ギリシャ人はいまだにこんなに贅沢なヨットを持っている”と批判していたが、それらは外国の富裕層が所有するヨットだった」と呆れていた。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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