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誰でも無料で一流大学の講義が受けられる!?
オンライン授業「コーセラ」は
教育で社会変革を起こせるか

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第205回】 2012年7月19日
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 コーセラの授業は、たいてい10分程度のビデオである。これが十数回繰り返されてひとつのコースとなる。1回の講義ごとに簡単なクイズやテストがあり、それで自分の学習程度が自覚できるようになっている。

 また、宿題もある。たとえば、文科系の授業の場合、小論文を書いたりするような宿題も出るのだが、その場合の採点は、同じ授業を受けている学生たちがそれぞれに評価し合うという方法で行われる。クラウドソースするという手だが、これは学生コミュニティーを育成し、学生自身が教授のアシスタントのような役割を担って、授業にコミットするというしくみでもある。

 わからないことや意見も他の学生に向かって尋ねればいい。平均22分で返答が返ってくるのだという。世界中にいる学生が、誰かしら同級生の手助けをするというわけである。

 こうしたことはすべて、現在の教育学で証明された方法に従って優れた学習とは何かを探った結果だという。ただ一方的に講義を聴くのではなく、学ぶ側もアクティブに参加し、回りとやりとりをするような方法でこそ、学習の度合いは深くなるというものだ。

現代的で魅力的なコースも豊富
良質な教育で社会変革の一翼を担うか

 コーセラのコースには現代的なテーマがたくさんあって、大人でも「もう一度勉強したい」と思わせるのに十分なものである。今はやりの「ゲーミフィケーション」とか、現在問題になっている「健康保険制度」、非常にタイムリーな「SaaSのためのソフトウェアエンジニアリング」といったものがある。「ワールドミュージック」とか、「サステイナビリティー入門」、「ネットワーク化された生活」など、魅力的なものは他にもいっぱいある。生物学、情報学、コンピュータ、ビジネス、人文など、大学の学部を網羅していて、ちょっとした総合大学のようだ。

 無料でオンライン授業を提供するとは言っても、コーセラは営利目的の企業である。一体、収入を上げるためのビジネスモデルは何か。

 これについて、コーセラはまだ明らかにしてはいないが、少額の料金を払う「プレミアム会員」制度を設定する予定ともいう。プレミアム会員には特別なサービスを提供するわけだが、その内容はまだ不明だ。

 インターネットは社会を変えるツールだと期待されてきたが、社会をかたちづくる大きな要素のひとつが「教育」だ。良質の教育を、無料でシステマティックな方法で提供するコーセラは、社会変革の一翼を担っているのだ。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

ビジネスモデルの破壊者たち

シュンペーターの創造的破壊を地で行く世界の革新企業の最新動向と未来戦略を、シリコンバレー在住のジャーナリストがつぶさに分析します。

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