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今週のキーワード 真壁昭夫

我々が信じる“金利”はどこに信憑性があるのか?
「LIBOR不正操作事件」で炙り出された仕組みと正体

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第235回】 2012年7月24日
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金融機関の信頼を失墜させてしまった
バークレイズの“LIBOR”金利不正操作

 6月下旬、英国のバークレイズ銀行が不正に金利操作を行なっていたことが発覚した。不正に操作した金利は、国際的な基準となる“LIBOR”と呼ばれる金利だ。
“LIBOR”金利とは、「London Inter-Bank Offered Rate」の頭文字を取ったもので、ロンドンの金融市場で金融機関同士が、資金の貸借に使うとき適用される金利である。

 “LIBOR”金利は、英国銀行協会(BBA)がそれぞれの通貨について、取引量の大きな有力銀行からの自主申告に基づいて毎日算定される。この金利は、銀行間のお金の貸し借りに使われるだけではなく、我々が借り入れる住宅ローンや、企業の借入金利の基礎となる重要な指標だ。

 それ以外に金融市場で取引される、金融派生商品=デリバティブなどの価格算定の基準としても使われる重要な金利である。

 その重要な金利は、今まで民間の金融機関の自主申告に基づいて算定されてきた。つまり、「有力な金融機関は不正な操作など行なわない」という倫理観が前提となっていた。

 ところが実際には、一部の有力金融機関が意識的に虚偽の金利を申告することで、恣意的に“LIBOR”金利を操作していた。

 その背景には、毎日多額の資金取引を行なう有力金融機関にとって、“LIBOR”金利を操作することによって、収益をかさ上げすることが比較的容易なことがある。しかも、適用する金利は自主申告であり、厳格な管理体制が敷かれていなかった。

 つまり、有力銀行の中の一部が、収益を増加させるために、市場の信用を裏切る誘惑に負けてしまったということだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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