日本の教育現場は夏休みの真っ最中だが、メディアでは連日、昨年10月に発生した滋賀県大津市の男子中学生自殺に関わる「いじめ問題」の報道を繰り返している。
若くしてこの世を去ったいじめ被害者には心からご冥福をお祈りしたい。また、ご遺族の心情を考えると、筆者も子を持つ親として胸が締め付けられる思いだ。
いま、社会や世論の大きな怒りを買っているのが、加害者側のいじめの陰湿さとその保護者の言動であり、そして教育機関(教師・学校・教育委員会)の機能不全と保身による隠蔽体質だ。警察や第三者委員会による、一日も早い真相究明が望まれる。
検索結果は日本に関する記事ばかり
日本と中国の「いじめ」の違い
隣国中国は、政治、経済、外交とどこを切り取っても問題は山積みだ。もちろん、教育の現場も例外ではない。家庭と教師との「贈収賄」は相変わらず横行し、代理受験やカンニング受験といった不正や犯罪も後を絶たない。かつての日本にも似た「過度な詰め込み教育」は賛否が分かれるところだ。
しかし、教育の場である「学校」そのものは、日本のように“荒廃”はしていない。
中国では、今年2月に日本の文部科学省が公表した「不登校児は小中学校で11万9891人」という数字が衝撃的に伝えられた。
日本語の「いじめ」に相当する中国語、「受欺負」という言葉でキーワード検索をかけてみると、中国のサイトであるにもかかわらず、ヒットするのはなんと日本に関する記事ばかりだ。
大津市の事件については、その残酷さが「練習自殺」「模擬葬礼」といった中国語に翻訳され報じられている。
ひとりのターゲットを集団で執拗に追い回し、精神的ストレスを与え、暴行や金品略奪の果てに、最後は死に追い込む「日本の陰湿ないじめ」。未成年者といえども「犯罪」になんら変わりないこれらの事象は、中国でもあまた知られるところとなった。