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足し算ダイエットやスコア競争で健康に!
今なぜ「活動量計」が密かなブームなのか

2012年8月2日
著者・コラム紹介バックナンバー
量販店には活動量計売場が展開され、数多くの商品が鎬を削る。

 健康・ダイエット志向を背景に、密かなブームを呼んでいるのが「活動量計」だ。歩数計が主に「歩数」のみをカウントするのに対し、活動量計は胸のポケットに入れたり身体の一部に装着したりするだけで、「消費カロリー」を計測してくれる。歩行はもとより、家事やデスクワーク、何もしていないときも含め、1日の生活の中で費やされる総カロリーがわかるのだ。

 基本原理はこうだ。内蔵された3D加速度センサーが歩行だけでなく、体を曲げたり、屈んだりすることで生じるわずかな動きも検知し、独自のアルゴリズム(計算式)で身体活動の種類と強度を推計。それに身長や体重などの身体データを掛け合わせ、1日の総消費カロリーを計算する。

 2009年に健康計測機器メーカーのタニタが、一般向けとして初めて世に送りだした。近年、食材や食品、レストランのメニューなど多くの商品に「摂取カロリー」は表示されるようになった。しかし、ダイエットで痩せるか太るかは、食べる摂取カロリーと、動いて使う「消費カロリー」のバランスで決まる。

 それなのに、個々の消費カロリーを知る方法がない。そこで、同社が活動量計「カロリズム」を発売。大ヒットとなり、その後各社が追随して市場は一気に広がった。今年4~6月も、活動量計市場は前年比162%と好調だ。

 「それまで、多くの人は痩せるために摂取カロリーを減らす“引き算”で我慢した。しかし、活動量計によって消費カロリーがわかるようになり、食べたいなら動けばいいという発想で、摂取カロリーを増やしたぶん消費カロリーも増やす“足し算”のダイエットが可能になった。それが人気の秘訣です」(タニタ広報室)。

 カロリズムはその後も新商品が次々と投入され、今年7月にはシリーズ累計販売台数が約36万台となった。

 一方、新たな競合他社の参入も見られる。スポーツメーカーのナイキだ。ナイキは、今年1月、米国でリストバンドタイプの活動量計「Nike+FuelBand」を発売した。スポーツ対応加速センサーが内蔵され、歩行、ジョギング、ダンス、バスケなど、あらゆる活動の運動量を手首の動きを元に計測。運動量は、歩数や消費カロリーのほか、運動強度を表す単位「メッツ」を用いて算出した「NikeFuel」という独自の単位で、「スコア」として記録する。

 そして、ナイキらしさが出るのはここからだ。NikeFuelのスコアはUSBやBluetooth経由でiPhoneの専用アプリやパソコンに転送でき、そこからウェブサイト「NIKE+」の個人ページに記録される。予め設定した目標を達成すると祝福する画面が表示されるなど、ユニークな仕掛けも楽しい。また、スコアは、週や月、年単位のグラフで推移も確認できる。実に手の込んだ、優れたガジェットだ。

 さらにスコアは、Nike+やFacebook上で友人登録しているNikeFuelユーザー同士で競い合うことができる。iPhoneアプリには「Friends」欄があり、そこに日や週のスコアがランキング形式で表示されるのだ。「あと少しで1位になれるからちょっと走ってこよう」などと、否が応でもモチベーションは高まる。

 ただし、日本国内での発売は未定で、今のところアマゾンなどのネット通販で販売されているのみだ。しかし、国内販売が本格的に始まれば、活動量計市場に新たな旋風を巻き起こすことは間違いない。

 歩数計は、国内では江戸中期の発明家・平賀源内が最初につくったとも言われる。また、江戸後期には伊能忠敬が、日本地図を作成する際、歩数計を用いて全国を歩いたとされる。つまり、地図づくりのために距離を測る道具だったわけだ。

 それが戦後、健康やダイエット用途となり、最近になって活動量計に進化。今やスコアを競い合う“遊び感覚”まで加わった。国内メーカーも、SNSの仕組みなどを取り入れながら、計測や記録に止まらない、新たな機能やサービスを提供することが重要となるだろう。

(大来 俊/5時から作家塾(R)


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