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ビジネスマンのための中国経済事情の読み方

北京五輪後に中国バブルが崩壊すると誰が決めたのか?

――中国不動産市場から見た「バブル崩壊」の真偽【前編】

高田勝巳 [アクアビジネスコンサルティング代表取締役]
【第20回】 2008年9月25日
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 最近、日本の金融関係者と話していると、「北京オリンピックが終わって中国経済は大丈夫か?」といった質問をよく受けます。また、先日も、日本のテレビ関係者の知人から連絡があり、「オリンピック後の中国を取材したいので、中国企業が倒産した例とか、債権を回収できない例などを紹介してもらえないか?」といった話がありました。おそらく、オリンピック後の中国経済の崩壊を説明できるような構成にしたいのだろうと想像しましたが、「ダイヤモンドオンラインに逆の視点を書くのでそれを見ていただいてから意見交換しましょう」ということになりました。

 これまでも連載の中でも述べてきた通り、確かに、現在の中国はいろいろな意味で調整局面にあります。

1.人民元の切り上げによる輸出産業への打撃、輸出産業の経営悪化
2.労働契約法の施行による労働者保護の強まりと労働コストの上昇
3.不動産融資の総量規制による不動産価格の調整と中小デベロッパーの経営難
4.世界的な商品相場の高騰による省エネ機運の高まり
5.中国の環境悪化による住民の不満と環境対策の強化
6.中国の特殊要因による株価の下落

 ただ、この調整をバブル崩壊の前兆とみるのか、さらなる飛躍のための調整とみるのかによって、今後の中国関係のビジネスに対する姿勢も大きく変わってくるものと思います。上記の6つのポイントは、ある意味中国経済に将来起こりうる問題を想定して、早めにあく出しをしている部分もあります。

 たとえば、輸出産業の経営悪化ですが、中国政府も2008年度上半期に67000社の中小企業が倒産したと発表しております。これも「さぁ大変だ」と悲観的にとらえるのか、人民元の切り上げに耐えられない企業は早めに淘汰され、乗り切る体力と質を持った企業が生き残るということで「結果的に中国企業の体質改善になる」ととらえるかによって見方は全く違ってきます。何でも問題を先送りにする傾向にある日本と比べれば、よほどましであるともいえます。

 日本では、中国のマイナス面の情報はいくらでもあると思いますので、現地に生活する私としては、今回は主に最近私が関わっている中国の不動産を取り巻く環境をご紹介しながら、中国経済のプラス面を見てみたいと思います。不動産産業は一国の経済状況をみる上で一つの重要な指標になると思いますので、中国経済の全体観を見る上でも参考になると思います。主なデータは、私が日頃お世話になっている上海のファンドマネジメント会社Ashe Capital Management Co., Ltd.のアナリストが収集、まとめてくれました。

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高田勝巳 [アクアビジネスコンサルティング代表取締役]

上海在住15年。日系企業の中国ビジネス構築を支援しながら、中国経済の動向を「現地の視点・鋭い分析・分かりやすい言葉」をモットーにメディア等を通して日本に発信している。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)本部証券部門、上海支店等を経て2002年より現職。主な著書に『中国株式市場の真実』(共著・ダイヤモンド社刊)がある。
アクアビジネスコンサルティング ホームページ


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長年中国に住み、現地企業や政府と接してきた著者が贈る中国リポート。ニュースではわからない、現地で暮らしているからこそ見えてくる“リアルな中国”を紹介する。

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