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China Report 中国は今

上海で盛り上がるスシ・ビジネス
“本家”日本の寿司産業に追い風は?

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第30回】 2009年7月16日
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 上海グルメは星の数、この食い倒れの街に最近、寿司専門店がどっと増えた。「なぜ、あんなものを食べるのか」と奇異な目で見られた日本の寿司が、この5~6年ほどで上海にすっかり定着。回転寿司やラップ寿司(*1)、現地で独自に発展するスシカルチャー&ビジネスをクローズアップした。

(*1)一貫ずつ個別にラップされて売られているテイクアウト向けの寿司。

 昨年末、日本の「がってん寿司」(株式会社アールディーシー 本社:埼玉県)が上海の浦東新区で海外1号店をオープンした。回転寿司大手チェーンの上海進出では本邦初。「高級回転寿司」という衝撃は消費者のみならず、業界における関心事でもあった。なぜなら、それは「1皿6元(1元=14円)」という現地相場にどう挑むか、を意味するものだったからだ。

 日系資本が進出する以前から、すでに上海には回転寿司市場が存在していた。台湾の「爭鮮」、シンガポールの「寿司亭」「栄寿司」、中国の「元緑(禄ではなく“緑”)寿司」「禾緑寿司」などなど。「爭鮮」は台湾で100店舗前後の出店に成功、目下中国ではすでにカルフールと組んで20店舗近くを出店している回転寿司チェーンだが、その影響力は大きく、プライスリーダー的存在でもある。1皿6元の“激安寿司”の火付け役ともいえるだろう。

 どう考えても、日本資本が“6元市場”に入るのは難しい。回転寿司となれば、設備や内装の初期投資だけでもかなり高くついてしまうからでもある。

 日本資本が参入するハンデ、これについて業界に詳しい人物A氏は次のように話す。

 「皿の値段は10元、15元、20元と段階的に高くして、100~200元の客単価を狙わなければなりません。けれども、この価格帯はちょうど『食べ放題』の居酒屋マーケットとぶつかってしまう。日系の回転寿司チェーンが入りきれなかっただけに、がってん寿司さんの進出は快挙といえるでしょう」

 非日系がリードする回転寿司市場。現地では「日本人は食べられない」はほぼ常識化している。量販店のフードコートの回転寿司を覗くと目に飛び込んでくる満艦飾。タコがやけに赤かったり、ワカメがやけに緑だったり。クラゲもやけに黄色っぽい。聞けば、中国でも厳しく禁止されているはずのガスマグロ(*2)を出すところもあるという。

(*2)変色防止のために一酸化炭素を充填したマグロの刺身のこと。COマグロとも。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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