今回取り上げるのは通信制福祉の大学院である。

 東北福祉大学大学院の通信制大学院、総合福祉学研究科は2002年に開学しており、この分野では先駆者的な存在。社会福祉学と福祉心理学の2専攻を持つ、人気の福祉分野の大学院である。ヘルスケア関係の企業勤務、すでに福祉分野での仕事をもっている、または福祉分野への転進を考えている人にとって、仕事を離れることなく修士号を目指せる。またこの分野の専門家は、教育の現場でのニーズが高い。

 東北と聞いても、地理的な問題を感じずに済むのが通信制大学院のいいところである。全国どこからでも入学が可能である。スクーリングの問題がありそうだが、東北福祉大学大学院の場合では、スクーリング単位は「1科目年間12コマ(3日間連続または不連続)のスクーリングが必要」で、「修了までに最低1科目の単位を修得」となっている。スクーリング会場は仙台市青葉区のキャンパスのみだが、実施されるのは夏または冬季。集中講義のスタイルがとられるため、その時期の「通学」でことたりる。後は入学試験で訪れることが必要だが、これは当たり前だろう。

 正直言ってスクーリングの負担の少なさは、通信制大学院のなかでも目を引く。不況下での離職の心配もなく、高いレベルでの教育を受けることが出来る。

 一般に福祉の大学院は、講義の負担が大きいものだ。この学校のように、『福祉心理学』を置くのであれば、普通は通信制とは思えないほどスクーリングの負担は大きくなる。ところがこの学校では、その負担は極小化されている。件の福祉心理学専攻では、カリキュラムを拘束しがちな『臨床心理士受験資格』をはずしているのである。つまりこの学校では、受験資格は取得できない。

 一方で、カリキュラムの自由度は高く、アカデミックな性格が強い。ペーパーではなく修士論文を提出して修了するスタイルであり、まとめの段階の最低3回は、指導教員の面接指導、最終の口頭試問が、先に述べたスクーリングとは別に必要になる。

 社会福祉学専攻は福祉臨床、精神保健臨床、国際福祉、地域福祉、社会保障などの分野がメイン。高齢者・精神障害者の心理や行動、介護のあり方などミクロ面から、諸外国との比較、地域福祉政策、福祉経済など幅広い分野での研究指導を想定している。福祉心理学専攻は福祉心理、臨床心理、環境心理、生涯発達心理などがフィールド。家族関係の研究から、福祉領域に必要なカウンセリングのあり方、環境設計など応用分野までを扱う。

 福祉を実務、実技レベルではなく、研究としてとらえる大学院。社会人の進学先としての要件は満たしている。学費も安く、入学金を含んだ初年度納入金の総額が46万円(同大学出身者は41万円)である。

 入試は二期制を採っており、試験は12月と2月の2回。今からなら、どちらの出願にも間に合う。

東北福祉大学大学院 総合福祉学研究科(通信制)