優遇金利の大幅な引き下げのため、今や利用者が半数を超える変動金利型ローン。どういうとき変動金利型ローンを選んでよいのか、気になる金利上昇リスクが実際はどの程度あるのか、ファイナンシャル・プランナー・浅井秀一が、ズバリ解説します。また、変動金利型と「10年固定」との比較、注目したい金利ミックス型についても、ご紹介します。

「変動金利型」の利用者が最も多い?

「変動金利型ローン」の金利上昇リスクは<br />どれぐらいあるか?浅井秀一(あさい・しゅういち) [ファイナンシャル・プランナー(CFP)] 1964年、愛知県生まれ。福井県高浜町育ち。早稲田大学第一文学部卒業。1988年に学生では初の日本FP協会の会員となる。現在は、主に個人のプランニング業務を中心とする、(有)ストックアンドフローの代表取締役として活躍中。 著書には、借り換え・繰り上げ返済ブームをおこしベストセラーとなった『住宅ローンは、いま借り換え・繰り上げ返済しなさい!』(ダイヤモンド社)、『図解わかる住宅ローン〈2012‐2013年版〉』(新星出版社)、『佐藤江梨子と浅井秀一のいちばんやさしいマネープラン』(日本経済新聞社)などがある。 撮影:安海関二

  昨今では、民間住宅ローンを利用した人の半数以上が変動金利型を利用しているようです。
  住宅金融支援機構が毎月調査を行っている、民間住宅ローンの「金利タイプ別利用状況」を見ても、「変動金利型=53.5%」、「全期間固定金利型=22%」、「固定金利選択型=24.4%(うち、10年固定=11.8%)」、という結果です(平成24年6月調査)。

 同調査の過去の推移を見ると、変動金利型は平成20年には全体の3分の1程度だったのが、リーマン・ショックによる不況の影響が完全に見えてきた平成21年以降は40%~50%以上へと一気に増加し、最近はずっと5割前後という状況で推移しています。

  また、変動金利型の住宅ローン金利(優遇金利)を確認すると、リーマン・ショック以前は1.675%が中心でしたが、4年後の現在は0.875%を適用する金融機関が目立ちます。
  どう分析しても、長引く不況と、優遇金利の大幅な引き下げが、変動金利型ローンの利用者増加に拍車を掛けたことは明らかでしょう。

 今回は、利用者の多い変動金利型ローンについて、実際に金利上昇リスクがどの程度あるのか、検討してみることにします。