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世界を巻き込む途上国ビジネス

「ボトムからの視点」なくして変革なし。
コペルニクがめざす次なる道

中村俊裕 [米国NPOコペルニク 共同創設者兼CEO]
【最終回】 2012年8月21日
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 これまで9回にわたって、コペルニクを立ち上げた背景、コペルニクが行なってきた具体的活動、途上国ビジネスにおいて日本企業が持つ可能性などについて書いてきた。そして最終回である今回は、「コペルニクがめざす次なる道」と題して、今後2~3年以内にコペルニクがどのような新展開を考えているかを紹介したい。

 第1回で紹介したとおり、「直接のインパクト」「革新的なアイデア」をベースに、「ラストマイルでの貧困削減を加速させる」というミッションは変わらないが、このミッションをより効果的に達成するために、現在取り組んでいる4つの活動――①実店舗の展開、②支援からビジネスへの移行、③フィードバックの蓄積、④経営基盤の安定、について紹介したい。

①実店舗の展開:
テクノロジーを身近な場所に

 コペルニクでは、オンラインのマーケット・プレースを通じ、テクノロジー供給会社、テクノロジーを必要とする人々、そして支援者をつなげてきた。そして、このバーチャルでのマッチメーキングの発展系として、テクノロジー・フェアを2年ほど前に開始した。

 テクノロジー・フェアは、いわゆる「製品のお披露目会」。実際にテクノロジーを農村部まで持っていき、村人にそれらを手にして使ってもらう機会を提供するのだ。このことにより、村人はテクノロジーに対する理解が深まり、どのテクノロジーが自分たちに必要か判断できるようになる。既に東ティモール、インドネシアで10回近く行なってきた。

 テクノロジーと貧困層の距離を縮める次のステップが、いま計画をしている「実店舗の展開」だ。インドネシアで多く存在するワルン(売店)をワルン・テクノロジー(通称ワルテック)として改装し、貧困層の課題を解決できるような製品を取り揃える店舗にしようというもの。農村部、ある程度都市に近い地域、この両方で実店舗を構える計画だ。

コペルニクが考える店舗「ワルテック」のイメージ(コペルニク作成)

 これらの実店舗を通じて、すでにニーズの高いテクノロジーを販売するだけではなく、新しいテクノロジーのテストサービスも備える。テストしたい製品を簡単な説明とともにこれらの店舗に置くことで、そもそもどれほどのニーズがあるのか、そして実際に使った人からはどういったフィードバックがあるのか、などの情報を得ることができる。

 また、第9回で紹介した、われわれコペルニクが新たに始めた企業向けのアドバイザリー・サービスの一環として、その企業の試作モデルをこれらのワルテックに置き、現地リサーチにも対応する。

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中村俊裕 [米国NPOコペルニク 共同創設者兼CEO]

京都大学法学部卒業。英国ロンドン経済政治学院で比較政治学修士号取得。国連研究機関、マッキンゼー東京支社のマネジメントコンサルタントを経て、国連開発計画(UNDP)で、東ティモールやシエラレオネなどで途上国の開発支援業務に従事。アメリカ、スイスでの国連本部業務も経験し、ソマリア、ネパール、スリランカなど紛争国を主にカバーしていた。
2009年、国連在職中に米国でNPO法人コペルニクを設立。アジアやアフリカをはじめとする途上国の、援助の手すら届きにくい最貧層が暮らす地域(ラストマイル)へ、現地のニーズに即したシンプルなテクノロジーを使った製品・サービスを提供する活動を行い、貧困層の経済的自立を支援している。
2010年、2011年には、クリントン元米大統領が主催するクリントン・グローバル・イニシアティブで登壇。2011年にはテック・クランチが主催する「クランチーズ」で表彰。2012年、世界経済会議(ダボス会議)のヤング・グローバル・リーダーに選出された。また、テレビ東京系の「ガイアの夜明け」やNHKなどメディアへの露出も増加している。現在は大阪大学大学院国際公共政策研究科招聘准教授も務め、マサチューセッツ工科大学(MIT)、コロンビア大学、シンガポール大学、オックスフォード大学、東大、京大など世界の大学で講演も行っている。2012年、ダイヤモンド・オンラインに連載「世界を巻き込む途上国ビジネス」を寄稿。著書に、『世界を巻き込む。』がある。
☆中村氏twitterアカウント: toshikopernik
☆コペルニク・ジャパンfacebookページ: http://www.facebook.com/kopernikjapan


世界を巻き込む途上国ビジネス

BOPビジネスという言葉も登場し、途上国に新たなマーケットを求めて進出する企業が増えている。しかしその多くは、現地のニーズをきちんと捉えたビジネスモデルになっていないことが多い。長年、国連で途上国の開発事業に携わり、現在は自身が立ち上げたNPOコペルニクにて、シンプルなテクノロジーを途上国に届ける活動を行っている中村氏が、現地ニーズに即した途上国ビジネスについて考える。

「世界を巻き込む途上国ビジネス」

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