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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

絶望の中で「希望」を見出す。
理想論と現実論を持ち合わせた若者たちへの期待

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第73回】 2012年7月31日
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 今回は、「日本の若者が希望を持っているのかどうか」について考える。

 この国には希望がない。そんなメッセージが世の中に溢れ出してから、少なくとも10年は経っている。村上龍が『希望の国のエクソダス』(文芸春秋刊)を上梓したのがちょうど2000年のこと。この小説の中で主人公は「この国には何でもあります。しかし、希望だけがない」と語る。村上龍らしいエッジの効いたこのフレーズは日本社会に大きなインパクトを与え、これ以降、日本は絶望の国で、若者には希望がないことになってしまった。つまり、日本の若者はみんな不幸、ということになってしまったのだ。

内閣府の調査データが裏付ける
日本の若者の幸せ度

 ところが最近、ちょっと事情が違うのではないか、と考える人間も出てきた。筆者もそのひとりで、若者が絶望していて希望を持てないとすれば、近年の社会貢献熱の高まりは説明がつかない。

 ある意味、日本が絶望的な状況であることは確かだとしても、そもそも希望とは絶望の中から生まれるものだし、実際に日本でも世界でも、絶望の中から希望のメッセージを発信している若者は数多い。仮に、村上龍が「希望の国のエクソダス」を書いた当時の日本の若者のほとんどが希望を失っていたとしても、実感としては希望を取り戻しつつあるのではないか、と思っていた。ただし、データがなかった。

 いまの若者は実は幸福なのだ、ということについては、昨年リリースされた古市憲寿の著書『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社刊)によって明らかにされ、大きな話題を呼んだ。なにしろ、「日本の若者は絶対に不幸だ」と思っていた大人たち(そして多くのマスコミ)の常識を覆したわけだから。

 実は、この本が話題になったとき、この社会学専攻の大学院生が独自の調査によってこのことを明らかにしたのかと思ったのだが、実はそうではなかった。日本の若者が幸福であることの基本的な根拠は内閣府の「国民生活に関する世論調査」である。つまり、誰でも入手できるデータが根拠になっている。逆に言えば、データは開示されているのに、誰もそのことに気がつかなかったということだ。筆者も見逃していた事実で、不明を恥じた。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

「社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭」

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