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河尻亨一のデジタル・クリエイティブReview
【最終回】 2012年8月23日
著者・コラム紹介
河尻亨一 [元「広告批評」編集長/銀河ライター主宰/東北芸工大客員教授]

プログラミングできるTシャツを
着る勇気はありますか?

クリエイティブは科学のほうへ

「デジタル表現と体験」というテーマでお届けして来た当連載もこれでひと区切りとなります。前回までは比較的“いま旬”なトピックを中心にご紹介してきましたので、今回は「未来」にフォーカスしてみましょう。遊び心たっぷりの実験的トライアルも含まれますが、想像は創造の栄養源とも言います。20XX年の生活を大胆にイメージすれば、よりダイナミックなクリエイティブの可能性も見えてくるかもしれません。

デジタルツールはより
“肌身”に近い存在に

世界初、プログラミングできるLED Tシャツ(digital buzz BLOG)

 「世界初の“プログラミング”できるTシャツ」という触れ込みのアイテムです。映像をご覧いただくとおわかりいただけると思いますが、何だかすごいですね。服がインターネットとつながっています。このTシャツにはLEDのディスプレイが仕込まれており、そこに文字や映像、SNS上のメッセージなどがスマートフォン経由で表示できるようになっているようです(カメラ機能も付いているとか)。

 「これを着て街を歩く」ということになると、現状では少し度胸もいりそうですが、デジタル技術がもたらした新しいファッション(装いの)体験とは言えそうです。PRのシーンやイベントなどでは目立つでしょうね。説明ムービ中に「着られる・シェアできる・プログラミングできる、100%コットン」という謳い文句が出てきますが、「何もTシャツまでソーシャルメディア化しなくても……」と微笑ましい気持ちになりました。

 しかし、最近話題に上ることも多いSNS上のお付き合いの“たこつぼ化現象(交流が閉じられたものになりやすい)”なども考慮すると、こういった逆コースというか“現実世界への表現アピール”も方向性としてはアリなのではないかとも思わされました。

 自分や友だちの好きなモノがTシャツにどんどん表示され、リアルタイムで「いいね」が押されたりするのは、ハプニング性もあって意外に楽しいかもしれません。クリエイティブアイデアには、誰もが思いもよらぬ方向から現状を打開する働きもあります。

 以前、デジタル万歩計とも言えそうな機能を持つ「Nike+fuelband」(デイリーニュースエージェンシーの記事より)をご紹介したように、デジタルツールはより“肌身”に近い存在となりつつあります。私もそうですが、多くの人々が片時もモバイルを手放せない生活に突入していることからも、それは実感としておわかりいただけるでしょう。肌身どころか人体に情報端末を埋め込む研究が着々と進んでいるという話も聞きます。

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河尻亨一 [元「広告批評」編集長/銀河ライター主宰/東北芸工大客員教授]

1974年、大阪市生まれ。99年、早稲田大学政治経済学部卒業。お茶の水美術学院講師を経て、2000年より雑誌「広告批評」(マドラ出版)に在籍。08年、編集長就任。10年、同社退職後、雑誌・書籍・ウェブサイトの編集、企業の戦略立案およびPRコンテンツやイベントの企画・制作を手掛けるほか、講演活動なども行っている。


河尻亨一のデジタル・クリエイティブReview

ITツールの進化によって、デジタル・クリエイティブはより精緻に、よりリアルにとその表現力を上げています。これまで体験したことのない感動をデジタルで実感できる時代には、どんなコミュニケーションが可能になるのでしょうか。元「広告時評」編集長の河尻亨一氏がナビゲートします。

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