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元「広告批評」編集長・河尻亨一の「月刊マーケティング時評」
【第4回】 2012年4月17日
著者・コラム紹介
河尻亨一 [元「広告批評」編集長/銀河ライター主宰/東北芸工大客員教授]

「物語化」するマーケティング
――Facebookリニューアルで販促はどう変わるか

ネット上で企業と個人が“ほぼ同じ存在”になると……?

2012年3月、Facebookの仕様が変更された。国内ユーザー数1000万人、世界では8億人が利用する一大インフラとなったFacebookは、どのような意図をもってこの変更を行ったのか。変更に先立ってニューヨークで実施されたFacebook側の説明などを元に、ソーシャルメディアマーケティングの今後を含めて検証してみる。

「タイムライン」の導入で
企業と個人のポジションは?

 今回は、3月末に実施されたFacebookの仕様変更にフォーカスしたい。

 多くの人が指摘するように、ソーシャルメディアを用いたマーケティング活動では、何にも増して企業の“人格”(キャラクター)が重視される。しかし、ともすればわれわれは技術の新しさや目先のミッションに目を奪われがちで、コミュニケーションにおける“当たり前のこと”がおろそかになってしまうこともある。「口で言うは易し、行うは難し」の類いの課題だ。

 しかしFacebookは、その“当たり前”にプライオリティを置いているようだ。2012年3月から4月にかけて、デジタル・マーケティング界隈では、Facebookの仕様変更が大きな話題になっていた。国内のユーザー数も1000万人(世界では8億人)を超えたとされる超巨大プラットフォームのリニューアルだけに影響力は大きい。3月末をもってすべてのページが新システムに切り替わった。

 変更点と新たに導入された機能の詳細についてここでは触れないが、マーケッター向けの説明会として、2月末にニューヨークで開催された「fMC 2012」(Facebook Marketing Conference、東京でも3月16日に開催)で発表された内容の要点のみご説明したい。

 大きくは「タイムライン」と呼ばれる機能の導入である。Twitterの「タイムライン」とは意味が異なるものであり、これによりすべてのユーザーは、生まれてから現在にいたるまでの“自分史”をFacebook上に記録できるようになった。「タイムライン」は個人ユーザーのページだけでなく、企業や組織などが運営するFacebookページにも適用される。

 マーケティングの観点ではここが重要だ。なぜなら、これによって企業のページは個人ユーザーのページとほぼ“同列”の存在となるからだ。つまり、プレゼントキャンペーンなどの実施による人(ファン、購読者)集めが困難になったのだ。「発信する情報の中身(魅力)とファンとの会話で勝負せよ」ということだろう。

 なぜ、「タイムライン」でプレゼントキャンペーンなどの仕掛けが実施し難くなったのか。それは、従来は「welcomeページ」という“入り口”を運営側が独自に設定でき、そこでユーザーに対するさまざまなメリットを提示することで「いいね」へ導くこともできたのだが、その仕組みが廃止されたからだ。

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河尻亨一 [元「広告批評」編集長/銀河ライター主宰/東北芸工大客員教授]

1974年、大阪市生まれ。99年、早稲田大学政治経済学部卒業。お茶の水美術学院講師を経て、2000年より雑誌「広告批評」(マドラ出版)に在籍。08年、編集長就任。10年、同社退職後、雑誌・書籍・ウェブサイトの編集、企業の戦略立案およびPRコンテンツやイベントの企画・制作を手掛けるほか、講演活動なども行っている。


元「広告批評」編集長・河尻亨一の「月刊マーケティング時評」

元「広告批評」編集長・河尻亨一氏が、ヒット商品、イケてる人や企業、話題の現象……などなど、「ヒト・モノ・コト」にまつわる旬のテーマをマーケティングの視点から読み解く時代批評です。

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