まずは視覚だけを使う

これまで見てきた作品と比べると、いかにも特徴が少なそうですが、「アウトプット鑑賞」をしてみれば、なにか発見があるかもしれません。まずは作品をよく見ながら、気づいたことをアウトプットしていきましょう。

「どこからそう思う?(意見に対して事実を聞く)」「そこからどう思う?(事実に対して意見を聞く)」の質問も組み合わせることで、気づきをさらに深めていきます。

「三角錐の形をしている」
「穴が5つ開いている」
――そこからどう思う?
「穴から水が出てきそう」
「水が溜まって『泉』になるとか」
「手前のパイプから水が噴き出す?」

「『R.MUTT』というサインが書かれている。」
「読み方はアール・ムット? マット?」
――そこからどう思う?
「作者の名前(デュシャン)とは違う。誰なのかが気になる……」
「この作品を所有していた人の名前かなあ」

「書かれている字が雑だね」
「年号が1919にも1917にも見える。どちらなのだろう」
――そこからどう思う?
「作者ではなく、この作品に思い入れがない人が後から書き入れたとか?」
「トイレと形が酷似している……(笑)」
「材質もトイレっぽい」
――そこからどう思う?
「小さいから、ペット用トイレなんじゃない?」
「じゃあR.MUTTというのはペットの名前なのかも」

「手前の筒のところが茶色い」
――そこからどう思う?
「なんか汚らしくてイヤ」
「ここにパイプがつながっていた?」

「これ、もともとは壁に取りつけられていたと思う」
――どこからそう思う?
「左右に壁に取りつけるためのような突起があるから」
――そこからどう思う?
「おかしいな。これを壁に取りつけるとなると、サインの向きが逆だ」
「なにかしら、実用的な道具だと思う」
「洗面台とか?」
「米を炊く道具かも」