ビジネスシーンでの働く者の多様さを意味する「ダイバーシティ」は、女性の社会進出(=女性活躍)にフォーカスされたのが始まりだ。前述した労働力人口の増加は女性の就業が主因であり、ダイバーシティの礎と言える“女性の社会進出”は一定の成果を上げてきた。

 そしていま、女性の社会進出同様に、シニア・外国人・障がい者・LGBTといった、あらゆる人たちがあらゆる人たちとともに手を取り合って働くこと(=インクルージョン)が大きく期待されているのである。

障がい者が社会で能力を発揮できる機会は拡がっていく

 なかでも、ここ数年で、雇用機会を大きく広げているのが「障がい者」だ。2019年に厚生労働省が発表したデータによれば、民間企業で働く障がい者は56万人を超え、16年連続で過去最高となった。

 1960年に「身体障害者雇用促進法」が制定され、政府は企業に障がい者を雇用するように求め、法定雇用率が設定された。この法定雇用率の数字は「努力目標」から「法定義務」に変わり、1998年に「知的障がい者」が、2018年に「精神障がい者」が雇用義務に含まれるようになるなど、法律の改正が雇用を後押ししている。民間企業においては、来年2021年4月までに法定雇用率が2.3%に引き上げられる予定だ。こうした数字からも、障がい者が社会で能力を発揮できる機会は、今後も広がりを見せていくにちがいない。