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バブルと金融政策の関係を整理する(下)
「質の悪い信用拡大」を少しでも抑え込むには

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第245回】 2012年8月29日
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バブル形成には金融緩和だけでなく
「質の悪い信用拡大」が十分条件

 前回、バブルの形成のためには、金融政策が緩和的であり続けるという必要条件だけではなく、「質の悪い信用拡大」という十分条件が必要なことと、後者には「リスクを誤認させる仕掛け」が深く関わっていることを確認した。

 それでは、好況となって資産価格が上昇したとき、これがバブルに至ることは必然なのだろうか。必然ないしはその蓋然性が大きいのだとすると、それはなぜなのか。その場合に、バブルの害を(少しでも)抑え込むための政策はどのようなものであるべきなのか。

 後編の今回は、これらの問題について考えてみたい。

 ブームに続いてバブルが「絶対に起こる」とまでは言えないとしても、金融機関や金融マンのインセンティブを考えると、バブルは極めて起こりやすい。

 端的に言って、資産価格の上昇局面は金融業のビジネス・チャンスだ。

 バブル時代の日本の金融マンは、現代の欧米の投資銀行マンほどのボーナス・インセンティブを持っていなかったが、彼らにも社内の競争があったし、金融機関にとって地価や株価の上昇は大きなビジネス・チャンスだった。

 資産を担保に取ることが多い日本の貸金業では、融資先企業が保有する不動産の価格が上昇するということは、これまで以上の融資が実行可能となる。すると、何らかの資金使途を「提案」して、新たな融資を行なうことが、彼らにとって前向きな仕事になる。

 担保が株式である場合も同様だし、直接担保にしないまでも、融資先のバランスシートが強くなって、新たな融資の余裕が生じるのは同様の理屈だ。

 かつての日本の金融マンに、まして、現代の欧米の金融マンに、こうしたビジネス・チャンスを「見逃せ」と指示することが簡単であるようには思えない。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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