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山田厚史の「世界かわら版」

尖閣・竹島と米大統領選
「共和党のロムニーなら」という錯誤

山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
【第18回】 2012年9月13日
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 「尖閣国有化」を明らかにした日本に対して、中国各地でデモが起きている。領土を「核心的利益」と位置づける中国は、監視船を尖閣周辺に派遣した。昔なら軍事的衝突もありえる局面だ。両国とも引くに引けない。この局面に米国はどう出るのか。11月6日投票の大統領選挙を争うオバマとロムニーの、どちらが日本に好ましい政策を掲げているのか。

大見えを切ったロムニー

 「共和党のロムニーのほうが頼りになりそう」という声をよく聞く。中国に強い姿勢で臨むロムニーなら、領土問題で日本の肩を持ち心強い後ろ盾になってくれそうだ、という期待からだ。果たしてそうだろうか。

 ロムニーは「大統領に就任したら、中国を為替操作国に指定する」と大見えを切った。中国が嫌がる人民元切り上げを、力ずくで迫る「圧力重視の中国外交」である。

 オバマは中国を「重要な二国間関係」と位置づけ、対話路線を継続する方針だ。

 「圧力」と「対話」。どちらに重点を置くかは、外交にとって永遠の課題だ。今回の大統領選は、共和党と民主党の外交方針の違いを鮮明にした。

 違いの根本は「米国の例外主義」を認めるか、という点にある。ロムニーは「米国は特別な国であり、国連に縛られない単独行動もいとわない」という考えだ。身勝手に聞こえるが共和党の伝統的な外交政策である。「強いアメリカ」を主張して対ソ強硬策を主張したレーガンや、イラク攻撃に踏み切ったブッシュらがこの路線を象徴している。

 世界の平和を守るため、と称して国際協調を無視してでも、米国の利益追求を進める、その力が米国にある、という考えだ。レーガンやブッシュが掲げたこの路線をロムニーは踏襲し、オバマ外交を「弱腰」と非難する。

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山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]

やまだ あつし/1971年朝日新聞入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界など担当。ロンドン特派員として東欧の市場経済化、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。朝日新聞特別編集委員(経済担当)として大蔵行政や金融業界の体質を問う記事を執筆。2000年からバンコク特派員。2012年からフリージャーナリスト。CS放送「朝日ニュースター」で、「パックインジャーナル」のコメンテーターなど務める。

 


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元朝日新聞編集員で、反骨のジャーナリスト山田厚史が、世界中で起こる政治・経済の森羅万象に鋭く切り込む。その独自の視点で、強者の論理の欺瞞や矛盾、市場原理の裏に潜む冷徹な打算を解き明かします。

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