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公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

不動産不況下のREIT市場から分析する
「ROE(自己資本利益率)」指標の脆弱性

高田直芳 [公認会計士]
【第15回】 2009年9月4日
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 投資家やマスメディアは、企業分析の指標としてROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)を盛んに取り入れがちだ。しかし、この2つの指標を絶対的なものとして取り入れてしまうことに著者は疑問に感じている。

 今回のコラムでは、投資家やマスメディアが盛んにもてはやすROAとROEの問題点に迫っていきたい。そこで、前回コラムの中で紹介をした飲食料品業界と、それらとはトレードオフの関係にある不動産業界を取り上げて説明していこう。

対極に位置する業界を分析できるROA

 前回コラムでは、飲食料品などの流通業界が熾烈な薄利多売によって、倒産の危機に瀕している実態を紹介した。

 そして、前回同様、中小企業庁の『中小企業実態基本調査(平成20年調査結果)』を利用して、飲食料品などの流通業界が直面する“dead line”を紹介したのが、〔図表 1〕である。不動産業界やREIT(不動産投資信託)市場は、トレードオフ曲線の裾野(右下)に位置している。

〔図表 1〕売上高営業利益率と総資産回転率のトレードオフ

 飲食料品(卸売業・小売業)と不動産賃貸業は、〔図表 1〕では左上と右下というように、両対極に位置している。取り組んでいる業務も、まるで異なる。筆者はよく、スーパーマーケットの棚卸を「手伝わされる」が、これは体力勝負だ。一方、不動産業は、六法全書との格闘技である。

 このように、トレードオフ曲線の対極に位置する業界同士を、同じ土俵で比較することは無謀なのだろうか。

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高田直芳 [公認会計士]

1959年生まれ。栃木県在住。都市銀行勤務を経て92年に公認会計士2次試験合格。09年12月〜13年10月まで公認会計士試験委員(原価計算&管理会計論担当)。「高田直芳の実践会計講座」シリーズをはじめ、経営分析や管理会計に関する著書多数。ホームページ「会計雑学講座」では原価計算ソフトの無償公開を行なう。

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公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

大不況により、減収減益や倒産に直面する企業が急増しています。この連載では、あらゆる業界の上場企業を例にとり、どこにもないファイナンス分析の手法を用いて、苦境を克服するための経営戦略を徹底解説します。

「公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略」

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