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スマホ市場を揺るがすソフトバンクの買収攻勢
大勝負に出た孫社長の飽くなき野望と吉凶の行方

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第248回】 2012年10月23日
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久々に海外で注目を浴びた日本のニュース
ソフトバンクのスプリント買収に賛否の声

 今回のソフトバンクのスプリント・ネクステル買収報道ほど、わが国企業のニュースが海外の注目を集めたことは、最近では思い当たらない。色々な意味で、それほどインパクトのある買収劇だろう。

 つい最近、国内でイー・アクセスを買収し、国内携帯キャリア2位のKDDIに契約数で肉薄する一大勢力となったソフトバンク。その同社が、時を置かずして米携帯電話業界第3位のスプリント・ネクステルを約201億ドルで買収するというのだ。これにより、ソフトバンクは契約者数が9000万件を超える世界第3位の携帯電話会社へと上り詰める。

 それは、ソフトバンクを率いる孫正義社長らしい拡張主義の行動と言える。同氏が抱く野望の一端なのだろう。同氏は、「男子として、いつか世界一になることを考えている」と述べている。

 専門家の間では、今回の買収劇には賛否両論がある。賛成派の中には、世界的な情報通信分野の成長性を考えると、「孫社長の拡張主義が成功を収めることは十分可能」との見方がある。

 今まで、わが国の経営者はリスクを極端に避け、業務活動を縮小均衡させることが多かった。それを考えると、リスクを取ってでも拡張を目指す孫社長の姿勢は称賛に値するとの意見もある。

 逆に慎重派の中には、ソフトバンクの多額の借入金や、買収先となるスプリントの赤字体質を考えると、「今回の買収案件は孫社長の大博打」との厳しい見方もある。すでに、借入金の増加を見込んで、同社の格下げの可能性を指摘する格付け会社も出ている。

 ただし、今回の買収劇が、今までのわが国の企業経営者のスタンスに、衝撃を与えることは間違いない。今回の買収提案は、日本企業が世界的規模の事業を主体的に展開することを目指すものであり、買収金額、事業の拡張性、さらには注目度の点において、過去に例を見ないものだ。それによって、海外投資家の目が少し変化していることも事実である。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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