世界投資へのパスポート
【第235回】 2012年10月15日公開(2013年2月6日更新)
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「世界投資へのパスポート」

著者・コラム紹介

世界投資へのパスポート

広瀬隆雄 ひろせ・たかお
三洋証券、S.G.ウォーバーグ証券(現UBS証券)、ハンブレクト&クィスト証券(現J.P.モルガン証券)を経て、2003年、投資顧問会社・コンテクスチュアル・インベストメンツLLCを設立。長年、外国株式関連業務に携わっており、特にBRICsをはじめとした新興国市場に詳しい。米国カリフォルニア州在住。

広瀬 隆雄

ソフトバンクによる米スプリント社買収は、
いつでも撤退できる条件?

1

【今回のまとめ】
1.米国の携帯電話市場は成熟している
2.ソフトバンクはまずスプリント・ネクステルの19.9%だけを取得する
3.残りは公開買い付けになるが、条件は流動的
4.どちらも負債の大きい会社なので、様子を見ながら話を進める必要アリ
5.ソフトバンクによるメトロPCS買収は今のところ可能性は低い

米国の携帯電話市場

 米国の携帯電話加入者数はすでに米国の人口より多い約3.8億人に達しており、普及率は120%程度となっています。

 米国で最も大きな携帯電話会社はベライゾン(ティッカー:VZ)で、加入者数は1.11億人、第2位はAT&T(ティッカー:T)で1.05億人です。今回、ソフトバンク9984)が買収を検討しているスプリント・ネクステル(ティッカー:S)は第3位で5640万人です。

 つまり米国の携帯電話市場は成熟市場だと言えます。

最初に株を取得するのは19.9%のみ

 ソフトバンクはスプリント・ネクステルの過半数株式を取得することを検討しています。

 しかし今の時点では同社株の100%を取得し、スプリント・ネクステルを非公開化することは考えていないようです。大方の報道によると、株式の70%程度を支配することを狙っているようです

 それでは具体的にどうやって過半数株式を取得するかですが、まず発行済み株式数の19.9%程度に相当する新株をスプリント・ネクステルが発行し、それをソフトバンクに割り当てるという方法が噂されています。その際の割り当て価格は、まだわかっていません。

 なぜ19.9%かといえば、それを上回る株数をスプリント・ネクステルが出したい場合は、株主総会で承認される必要があるからです。

 この19.9%の株式の発行によってソフトバンクがスプリント・ネクステルに渡す現金は、資金繰りに困っているスプリント・ネクステルの運転資金に投入されると予想されます。

 ソフトバンクは残り(発行済み株式数の50%)をテンダー・オファー(公開買い付け)によって既存の株主から買い集めるのではないかと言われています。

 その時の買い入れ価格が幾らになるのかも、現時点では不透明です。6.30ドルから6.50ドル程度のテンダー価格になるという観測を報道しているマスコミもあります。

 しかし、その値段になる保証はありませんし、第一、その値段で株主達がスプリント・ネクステル株を手放す(=つまりテンダーに応じる)かどうかは、疑問が残ります。

いつでも逃げられる条件で買収が進む

 このように今回の買収話は、

1.実際に第一段階でソフトバンクが取得を考えているのは19.9%株式のみ
2.テンダー・オファーの条件が流動的
3.上場ならびに30%程度の流通株を残したカタチになる

 など、随所に中途半端さを残す条件となっています。

 これは裏返せば、今回の買収話を日本のソフトバンク株主が嫌気するようなら、途中で取り止めにすることもできるわけです。

【2017年7月3日更新!】

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