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スマートフォンの理想と現実

ソフトバンクが米携帯大手に出資を検討
スプリントとはどんな会社か、その狙いと影響は

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第35回】 2012年10月12日
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 さる10月11日、ソフトバンクが全米第3位の携帯電話会社スプリント・ネクステル(以下スプリント)の買収を検討していると報じられた。明くる12日には、ソフトバンクから「出資に向けた協議は事実」と交渉を認めるプレスリリースが発信された。

 関係筋によれば、すでに合意間近であるとの話もささやかれている。実際本稿執筆中にも、ソフトバンクと財務面で関係が極めて深い、みずほコーポレート銀行が音頭を取って、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行も参加する、1.8兆円規模の協調融資(シンジケートローン)の検討が進められていると報じられた。

 一方、このニュースが流れてから、ソフトバンクの株価は、日経平均を押し下げるパワーを持つほど大きく値を下げた。反対に、スプリントの株価が高騰したのは、先のイー・アクセス買収の際と同じ構図だ。そしてこうした状況を反映して、CDS(クレジットデフォルトスワップ)市場でも大きくワイド化していると報じられている。

 イー・アクセスの買収時も大きな関心を集めたが、今回はそれさえも忘れさせてしまうほどの、ワールドクラスのビッグニュースである。現在仕事でインドに滞在している私のところにも、11日はひっきりなしに連絡が入り、デリー郊外で砂塵にまみれながら、その対応に明け暮れていた。

 当然ながら私は交渉の当事者ではなく、また現時点で確定している事項についても明らかにされていない。そうした前提を踏まえつつ、そこで今回はあくまで現時点の見立てとして、本件の狙いや影響を考察してみる。

スプリントってどんな会社?

 全米第3位とはいえ、日本で暮らす多くの人にとって、スプリントはあまり馴染みのない通信事業者だろう。

 ざっと概要を説明すると、契約件数が5600万件超の移動体通信事業者で、全米を対象に全国規模でサービス展開している。2004年にスプリント社がネクステル社を買収したことで現在の体制となり、基本的にはスプリント社が有していたCDMAネットワークが事業の礎となっている。現在の主力商品は、2011年から取り扱いをはじめた、アップルのiPhoneだ。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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