ファーウェイのドライブシステムを搭載した「SF5」ファーウェイのドライブシステムを搭載した「SF5」 Photo:VCG/gettyimages

デンソー超えの自動車部品メガサプライヤーになる。中国通信機器・端末大手ファーウェイのEV戦略が明らかとなった。価格破壊の新型センサーから自動運転ソフトウエア、電力管理システムまで、新製品を一気に発表した。(ダイヤモンド編集部特任アナリスト 高口康太)

「3000万台市場を制覇する」
メガサプライヤーにのし上がる

「中国自動車市場は年間3000万台かそれ以上の規模に成長する。この市場で1台当たり1万元(約17万円)を売り上げられれば十分だ」

 中国の通信機器大手、ファーウェイ(華為技術)の徐直軍(エリック・シュー)輪番会長は4月の経営戦略説明会で、EV(電気自動車)事業の目標をこう語った。2020年に本格始動したEV事業について、対外的に数値目標に言及するのはこれが初めてだ。

 この目標が実現すれば事業年商は3000億元、日本円にして約5兆円となる計算。ファーウェイにとって、通信基地局と並ぶ主力事業に育つ。そればかりではない。自動車部品世界2位のデンソーの年商(21年3月期4.9兆円)と肩を並べるのだ。

 デンソーと言えば、独ボッシュや独コンチネンタルとともに、自動車業界のメガサプライヤーとして君臨している企業だ。要するにファーウェイは、デンソーを規模で追い落とす勢いでメガサプライヤーにのし上がろうとしているのだ。

 ファーウェイのEV戦略には、二つの特徴がある。