写真:日本全国のワクチンと株価Photo:PIXTA

主要中央銀行の大幅な金融緩和が現在の株高を支えている。ただ、徐々に緩和が手じまわれるのであれば株価にとって大きなマイナスとはならないだろう。日本株に対する海外投資家の目は厳しいが、足元の円安もあり、業績は回復に向かう。その過程ではサービス業に投資妙味があるとみる。(UBS証券ウェルス・マネジメント本部ジャパンエクイティリサーチヘッド 居林 通)

主要国の中央銀行のバランスシート
拡大が世界の株価上昇の背景にあり

 前回の当欄(5月3日)は株式市場の物色の変化について解説した。

 昨年のコロナ禍で業績が大きく悪化した国内内需関連銘柄の株価は、再度の緊急事態宣言を受けて再び下落に転じていた。しかし、今後はコロナウイルスのワクチン接種加速によって、これらの銘柄は昨年の大幅の収益低下から一転、業績と株価の回復が見込めると予測した。

 この見方に引き続き変化はないが、これは、その他の投資環境、特に米国の経済政策、なかでも金融政策が急転換して引き締めに向かわないことが前提である。

 5月に入って日経平均株価は再度3万円をうかがおうというところから、急落して5月13日には2万7500円を下回る水準にまで下落した。その背景には世界的にワクチン接種が進みつつあるので、中央銀行の大型金融緩和が終了に向かうのではないかという懸念があった。

 今回は、日本株を取り巻く環境について、中央銀行の金融政策と海外投資家の日本株に対する需給という点から考えてみたい。

 下のグラフを見るとMSCI世界株と日米欧の中央銀行のバランスシートの大きさは関連があるように見える。