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岸博幸のクリエイティブ国富論

オバマは米国経済を再生させられるか?

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第206回】 2012年11月9日
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 米国大統領選はオバマ再選という形で幕を閉じましたが、二期目に入るオバマ大統領はこれからの4年で米国経済を再生させることができるでしょうか。

経済成長率はある程度回復へ

 もちろん、オバマ大統領にとって当面の最大の課題は、年明けにやってくる大型減税の失効と強制的な歳出削減が重なる「財政の崖」の回避です。日本と同様に議会が“ねじれ状態”にあることを考えると、かなりの紆余曲折が予想されますが、「財政の崖」をクリアできたとして、その後オバマ大統領は未だ金融危機の後遺症が残る米国経済を再生させられるでしょうか。

 この点について、朗報は、米国経済は今後自律的に回復していくであろうとの民間予測です。

 ブルーチップ経済予測調査(37人のエコノミストに対して毎月行なわれるアンケート調査)によれば、リーマンショック後の4年で金融、家計、企業の債務調整がだいぶ進んだので、誰が大統領になったとしても今後数年は経済の自然治癒過程が続き、自律的に成長を続けるだろうとの声が多いのです。

 即ち、経済が危機のときには誰が大統領になってどのような経済政策を選択するかが非常に重要となりますが、米国経済は既に危機を脱しているので、経済成長という観点からは政府の役割は当面の間、そう大きくないのです。

 現在、米国経済の潜在成長率は2.5%程度と言われていますが、ブルーチップの予測では、2014~16年は3%程度の成長率を達成できるとなっています。この予測は、2016年までが二期目の任期となるオバマ大統領にとっては大きな朗報ではないでしょうか。

雇用の改善は別問題

 それでもオバマ大統領の二期目の経済運営は厳しいものとなりそうです。それは、経済成長率はかなりの改善が期待できるものの、それが雇用の改善には結びつかない可能性が大きいからです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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