ひろゆきが語る「知らないほうが幸せになれる『努力と才能』の話」ひろゆき氏(撮影:榊智朗)

現在、さまざまなメディアで活躍中のひろゆき氏。全国のベストセラーランキングで続々と1位を獲得し、34万部を突破した著書1%の努力』では、彼の考え方について深く掘り下げ、人生のターニングポイントでどのような判断をしたのかを明らかに語った。
この記事では、ひろゆき氏に気になる質問をぶつけてみた。(構成:種岡 健)

「才能」か「努力」か

 人生において大事なのは、「才能」でしょうか。それとも「努力」か、あるいは「性格」か。それぞれは独立しているわけではなく、密接に関係し合っています。努力ができる性格であったり、努力が苦ではない才能もあったりします。物事はスッキリと簡単には語れないものです。

 ただ、普通に日常生活を送るだけなら、「努力」だけでいいかもしれません。特別な才能がなくても、皆から愛される性格でなくても、そこそこの努力でそこそこの学歴が手に入り、そこそこの仕事ができると思います。

 でも、スポーツや芸能など、限られた人たちしかなれない人気の分野で結果を出すのであれば、「才能」が重要になってきます。普通の人が1年かかって習得することが、生まれ持ってすぐにできる人だっています。そういう人に追いつくための努力は、かなり遠回りでムダになってきます。

 とはいえ、1つの分野で正しい努力の仕方を学べば、他の分野に変えたときに転用可能だとは思います。わかりやすいのが、受験勉強です。受験勉強で役に立たない知識を覚えることに費やした時間は、たぶんムダにはならないでしょう。世の中、ムダに覚えたりムダに教えられることがたくさんありますからね。

家庭環境が異なる双子の話

「才能」が大事であることを示す話があります。それは、双子の2人を追跡した研究です。その双子は、1人はお金持ちの家庭に、もう1人は貧乏な家庭にそれぞれ引き取られました。

 20代の頃は金持ちの家庭の子のほうが、学歴もよくなり、高い給料を得られたそうです。一方の貧乏な家庭の子は、大学に入ることができず、給料も低かった。つまり、20代においては明確な給料の差があったのです。

 しかし、彼らが、30代、40代、50代になるにつれ、給料の差が縮まっていったと言います。それは、2人が似たような遺伝子を持っているため、長期的に見ると能力の違いはないためです。

 冒頭で述べたように、普通の生活を送る上では、そんなに特別な才能は必要ありません。双子の2人は、社会人になって元々の能力を発揮していき、やがて社会的に似たようなポジションに落ち着いていったのでしょう。

 ということは、平凡な人生においては生まれ持って身についた「能力」が大事だという見方ができます。才能と呼べる以前の「脳の処理能力」なのかもしれません。別に、普通の生活を送る上では、100万人の中で1人が勝ち残るような世界ではありませんからね。受験や就活では、上位の3~5割くらいが勝ち残るようなシステムになっていますから、そんなものは才能と呼べるほど大したものは必要ありません。

思い込みも才能のうち?

 才能を伸ばすためには、「プラセボ効果」という思い込みが重要です。プラセボ効果というのは、効果のない薬を効果があるように騙して飲んだら効果が発揮されてしまったという、脳を騙す仕組みです。

 才能があるかもしれないと思い込んでいる人は、結果が出ている限り、やり続ければいい。結果が出ないにもかかわらず、才能があることを信じてしまって自分を騙しているのであれば、早く目を覚ましたほうがいい。

 どちらも、「結果(効果)」を信じて受け入れることが大事です。そうすれば、人それぞれの人生を送ることができます。と言いながら、本当は才能を盲信したほうが幸せに生きられるでしょうから、こういう話は知らないほうがよいのかもしれませんけどね。

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、34万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。