ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた【実践編】
【第5回】 2012年11月20日
著者・コラム紹介バックナンバー
小暮真久 [TABLE FOR TWO International 代表理事]

フェアトレードは、
なぜ全世界的な「うねり」を生み出せたのか?
――CSRを、ただのCSRで終わらせないために
Winの累乗を作る5つのC(4) Contributor

1
nextpage

社会貢献とビジネスを両立させるしくみ、「Winの累乗」。連載第1回で、この新しいビジネスモデルのあり方を提唱したのが、たった「20円」で全世界20億人にリーチする活動を展開しているNPO、テーブル・フォー・ツー・インターナショナル(TFT)代表の小暮真久氏。
<自社を取り巻くすべてにおいて『Win』を作り、それをどんどん増やすことが、グローバルにビジネスを成功させることにつながる>という「Winの累乗」について、小暮氏が「本業を通して社会にいいことを成し遂げる」ための実践例を紹介します。
第5回となる今回は、出資者(株主、寄付者)にWinを作るための方法を、「フェアトレード」が全世界的な「うねり」を生み出した本当の理由を探ることで浮き彫りにしていきます。

出資と寄付に、違いはない!?

 企業に出資することと、NPOに出資(寄付)することのあいだには、もはや違いはない、と言ったら、みなさんは驚くでしょうか?

 今回お話しするContributor――出資者にWinを作る、といった場合、僕らが働くNPOと企業の世界では大きな違いがあると思われがちです。なぜなら企業への出資者、すなわち株主は金銭的なリターンを求めて出資をする、NPOへの寄付者は社会へのインパクトを期待して出資をする、と一般的には考えられているからです。

 けれどいま、企業に出資することと、NPOに出資することの違いは薄れつつあると、僕は感じています。株主の方では「社会の役に立っている」企業に出資することで社会貢献したいと思う人が増えているように感じる一方、NPOに寄付をした方も、「いいことをした」と漠然と感じるだけではなく、自分の寄付金が具体的にどのようなインパクトを生んだのか、といった明確な結果を求める人が増えているからです。

 今回は、前回までとは一転してNPOの事例、フェアトレードのケースを見ながら、「組織に出資してくれる人にWinを作ること」のこれからの姿を考えてみたいと思います。

金銭的なリターン以外で出資者とつながる、
という新しい潮流

 企業の場合、「株主をハッピーにするには、配当をたくさん出すことが一番の近道じゃないの?」と、みなさんはまず思いますよね。たしかにその通りだと僕も思います。実際、資産運用のためというのが、ある企業の株式を購入する理由の筆頭に来ることでしょう。

 とはいえ、近年では株式からのリターンを金銭的なものだけではなく、無形の価値や経験にも求める傾向があるとも僕は感じています。たとえばカゴメが出資者のことを「ファン株主」と呼んでいることなどからもわかる通り、株主限定イベントや優待を設けることで金銭以外のリターンを提供し、またそれによって企業と株主とのあいだにエモーショナルな関係を構築しようという動きです。

 さらに企業のCSR活動が注目される近年では、「環境に優しい製品を作っている」「社会貢献に力を入れている」ということが、十分に出資の理由にもなり得るのです。

 ではこうして「金銭的なもの以外」でリターンを提供しようとするとき、出資者と信頼関係を築き、かつ長期的に株式を保有してもらう――つまり出資者にWinを作るためには、健全な財務状況を維持するほかに、どういったことを施策としてとればよいでしょう?

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
自分の時間を取り戻そう

自分の時間を取り戻そう

ちきりん 著

定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
生産性は、論理的思考と同じように、単なるスキルに止まらず価値観や判断軸ともなる重要なもの。しかし日本のホワイトカラー業務では無視され続け、それが意味のない長時間労働と日本経済低迷の一因となっています。そうした状況を打開するため、超人気ブロガーが生産性の重要性と上げ方を多数の事例とともに解説します。

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


小暮真久 [TABLE FOR TWO International 代表理事]

1972年生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、オーストラリアのスインバン工科大で人工心臓の研究を行なう。1999年、同大学修士号取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニー東京支社入社。(ヘルスケア、メディア、小売流通、製造業など幅広い業界の組織改革・オペレーション改善・営業戦略などのプロジェクトに従事)。同社米国ニュージャージー支社勤務を経て、2005年、松竹株式会社入社、(事業開発を担当)。
経済学者ジェフリー・サックスとの出会いに強い感銘を受け、その後、先進国の肥満と開発途上国の飢餓という2つの問題の同時解決を目指す日本発の社会貢献事業「TABLE FOR TWO」プロジェクトに参画。2007年NPO法人「TABLE FOR TWO International」を創設し、代表理事に就任。社会起業家として日本、アフリカ、米国を拠点に活動中。
2011年、シュワブ財団・世界経済フォーラム 「アジアを代表する社会起業家」(アジアで5人)に選出。同年、日経イノベーター大賞優秀賞を受賞。2012年、世界有数の経済誌Forbesが選ぶ「アジアを代表する慈善活動家ヒーロー48人」(48 Heroes Of Philanthropy)に選出。
著書に、『社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた』(ダイヤモンド社)、『「20円」で世界をつなぐ仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)、『20代からはじめる社会貢献』(PHP新書)がある。『「20円」で世界をつなぐ仕事』は、ビジネス書大賞 新人賞を獲得。


社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた【実践編】

たった「20円」で、先進国の肥満と、開発途上国の飢餓・栄養不足を同時に解決するビジネスモデルを打ち立て、全世界20億人にリーチする活動を展開しているNPO、テーブル・フォー・ツー・インターナショナル(TFT)。このTFTを率いるのが、元マッキンゼーのコンサルタントで、いまや全世界が注目する社会起業家である小暮真久氏です。
この度『社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた』で成功しているNPOと企業の共通点を描き出した小暮氏が、「本業を通して社会にいいことを成し遂げる」ための実践例を紹介する連載(全6回予定)。
大塚製薬「ポカリスエット」、リッツカールトン、ユニクロ、味の素など、事例も満載。

「社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた【実践編】」

⇒バックナンバー一覧