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社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた【実践編】
【第4回】 2012年11月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
小暮真久 [TABLE FOR TWO International 代表理事]

ユニクロの「全商品リサイクル活動」が狙う
新しいマーケティングとは?
CSRではなく、本業で社会貢献するための
コミュニティとのつきあい方
Winの累乗をつくる5つのC (3)Community

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社会貢献とビジネスを両立させるしくみ、「Winの累乗」。連載第1回で、この新しいビジネスモデルのあり方を提唱したのが、たった「20円」で全世界20億人にリーチする活動を展開しているNPO、テーブル・フォー・ツー・インターナショナル(TFT)代表の小暮真久氏。
<自社を取り巻くすべてにおいて『Win』を作り、それをどんどん増やすことが、グローバルにビジネスを成功させることにつながる>という「Winの累乗」について、小暮氏が「本業を通して社会にいいことを成し遂げる」ための実践例を紹介します。
第4回となる今回は、いまいる顧客を越えて、コミュニティにWinを作ることのメリットと、そのために必要なことを、ユニクロを展開するファーストリテイリングが「全商品リサイクル活動」に込めた思いと狙いを紐解くことで考えます。

潜在顧客を越えて、
コミュニティにアプローチするという新しい動き

 「潜在顧客にアプローチしよう」、そうビジネスの世界で言われるようになって、もう随分と経ちます。

 いま、この潜在顧客という言葉をさらに押し広げて、顧客が属するコミュニティにまでアプローチする、という企業が現れ始めています。今回紹介するユニクロは、まさにその最前線をいく企業と言えます。

 前回、Customer、すなわち顧客にいかにWinを作るかというお話をしましたが、「潜在顧客」という言葉がある通り、いま目の前にいる顧客だけに集中していたのではビジネスは広がっていきませんよね。「水平のインパクト」を意識しながら、顧客を取り巻く一般社会へもアプローチをしていくことが大切です。今回はこの一般社会――Community(コミュニティ)にWinを作るということを考えてみたいと思います。

 と、ここで皆さん不思議に思われるかもしれません。「潜在顧客」にWinを作ろうというのならわかるけど、なぜ「一般社会」「コミュニティ」にまでそれを広げなければならないの?と。たしかに一般社会にいるすべての人が顧客に転じることを見込めるわけではありませんし、明らかにターゲット外の人たちもいるでしょう。こうした人たちの間にWinを生みだしても、すぐにビジネスにつながるわけではありません。

 それでも僕は、企業が「将来の顧客を作るために」という目的を越えてコミュニティにWinを作ることには意義がある、と言いたい。社会的なベネフィットを提供することは、純粋にコミュニティに歓迎されることであり、その結果コミュニティに企業の「ファン」が増えることになる。短期的に顧客に転じることがなかったとしても、こうしたいわば「応援団」を持つことは企業にとってもベネフィットをもたらすからです。

 この、「コミュニティにWin」を本業と結び付けて計画的に実施し、効果をあげてWinの累乗を作り出している企業こそ、ユニクロなのです

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    小暮真久 [TABLE FOR TWO International 代表理事]

    1972年生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、オーストラリアのスインバン工科大で人工心臓の研究を行なう。1999年、同大学修士号取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニー東京支社入社。(ヘルスケア、メディア、小売流通、製造業など幅広い業界の組織改革・オペレーション改善・営業戦略などのプロジェクトに従事)。同社米国ニュージャージー支社勤務を経て、2005年、松竹株式会社入社、(事業開発を担当)。
    経済学者ジェフリー・サックスとの出会いに強い感銘を受け、その後、先進国の肥満と開発途上国の飢餓という2つの問題の同時解決を目指す日本発の社会貢献事業「TABLE FOR TWO」プロジェクトに参画。2007年NPO法人「TABLE FOR TWO International」を創設し、代表理事に就任。社会起業家として日本、アフリカ、米国を拠点に活動中。
    2011年、シュワブ財団・世界経済フォーラム 「アジアを代表する社会起業家」(アジアで5人)に選出。同年、日経イノベーター大賞優秀賞を受賞。2012年、世界有数の経済誌Forbesが選ぶ「アジアを代表する慈善活動家ヒーロー48人」(48 Heroes Of Philanthropy)に選出。
    著書に、『社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた』(ダイヤモンド社)、『「20円」で世界をつなぐ仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)、『20代からはじめる社会貢献』(PHP新書)がある。『「20円」で世界をつなぐ仕事』は、ビジネス書大賞 新人賞を獲得。


    社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた【実践編】

    たった「20円」で、先進国の肥満と、開発途上国の飢餓・栄養不足を同時に解決するビジネスモデルを打ち立て、全世界20億人にリーチする活動を展開しているNPO、テーブル・フォー・ツー・インターナショナル(TFT)。このTFTを率いるのが、元マッキンゼーのコンサルタントで、いまや全世界が注目する社会起業家である小暮真久氏です。
    この度『社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた』で成功しているNPOと企業の共通点を描き出した小暮氏が、「本業を通して社会にいいことを成し遂げる」ための実践例を紹介する連載(全6回予定)。
    大塚製薬「ポカリスエット」、リッツカールトン、ユニクロ、味の素など、事例も満載。

    「社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた【実践編】」

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